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第15話「封印の門・その一」


 はじめに……第10話でも書きましたが、「仙獣のたまご」、「杞人之憂」、「大地の樹」、「封印の門」はそれぞれ別の平行世界での独立した物語なので、前回からは話しが続かないので注意(直接続くのは第5話から)。


 さて黒い龍の「天封呪」によって飛ばされ、案の定この世界の三界老師に助けられた主人公は、元の世界に帰る手掛かりを探しつつ修行に明け暮れる日々、それで三年ほど過ぎたある日、彼は仙窟の中で出会った妖獣に敗北し、意識を失ってしまう…。

 主人公「へぶあー…まだシナリオ始まってないのにいきなりゲームオーバーとはなんて斬新な展開…ぐふっ」
 火の部屋神「…目覚めよ…」
 主人公「ぶむー…あと5分…」
 火の部屋神「はい5分
 主人公「早!! …あれ? ここは…?」

 気が付くと、そこは「スターラスター」の微妙にアレな宇宙空間のような亜空間だった。ダメージこそあるが、先刻まで戦っていたはずの妖獣の姿は見当たらない。代わりに居たのが火の部屋神(その地の風水を守る土地神)。水(マーメイド)・木(細目のナイスガイ)はこの日記に登場済みだが、火は確か初登場で、姿は中華風の剣士である。ちなみに土は少年道士で、金は七福神の布袋みたいな人。

 主人公「部屋神様が助けてくれたんですか?」
 火の部屋神「ああ。…実は、お前に頼みがある」

 五行を司る部屋神が、火土金水木…いわゆる風水相生の順に現れて語ったことによれば、彼らはこの土地の部屋神でなく、わざわざ遥か離れた地から主人公を呼びにやってきたのだと云う。なんでも彼らの守る土地が大変なことになっているらしい。

 水の部屋神「あなたの望むこと、知っているわ…元の世界に戻りたいのでしょう?」
 木の部屋神「もうじき、時の潮が満ちます。封印の大地を目指しなさい」
 主人公「封印の…大地?」


 三界老師「…なるほどな。しかし…部屋神が自分の土地を離れるなぞ聞いたことが無いのう(部屋神=土地神ゆえ)。何者かの罠かもしれんぞ」
 主人公「…でも俺は、元の世界に帰って延滞中のビデオ返さないと…。あとついでに石にされた老師を助けるんだっけ」
 三界老師「ついでかい!! まあ気を付けて行けよ。バカだから大丈夫とは思うが風邪はひくなよ」
 主人公「はあ…それでは、老師。アデュー」
 三界老師「うむ。さらばじゃ」

 と、別れ際に窟子仙と幼龍仙が付いて行くと名乗り出る。窟子仙はおなじみ黄色いネズミ君だが、幼龍仙(ようりゅうせん)は初登場である。名の通り辰で、陽属性。中型犬サイズのベビードラゴンである。


 そんな2匹を連れて行きます封印の大地。歩きに歩いて辿り着いたそこは、しかし異常なほどに荒れ果てていた。砂漠とまでは行かないが、荒野。

 窟子仙「ひどいですね…」
 幼龍仙「がう」
 主人公「まあ呼ばれるだけの理由は充分だな…お?」

 そんなとこに、みょーんと火の部屋神が出現する。

 火の部屋神「ウェルカァムッ!! 異世界の洞仙にょ!!」
 主人公「にょ!? いや単に今ローマ字入力で『洞仙よ』と打つべきとこを打ち間違えたのがイカスとそのまま通したにしたってずいぶんいやな間違いだな!!
 窟子仙「洞仙様、これ部屋神じゃないですよ絶対!!」
 主人公「ふっネズミ君、ネズミなだけに『〜にょ』と喋るあたまのヌルそうなイキモノを厭う気持ちは判るが語尾で人を判断してはいけないんだにょ?(←嫌がらせ)
 窟子仙「いや本気と書いてマジに部屋神の気配じゃないんですってばこれ!!」

 そう窟子仙にずばりと指摘された瞬間、ニセ部屋神の姿は揺らいで消える。確かにこの消え方からして部屋神の消え方ではない。忍者ハットリ君と忍者じゃじゃ丸くんの消え方くらい余裕で違う(←どう違うのか)

 主人公「……にょ?」
 窟子仙「全くもう…相変わらず殺気や悪意には敏感な割に普通の気配には鈍感すぎるその変な癖、早めにどうにかした方がイイですよ? しかし…これでは助けてくれたって云う部屋神も、おそらくニセモノ…ホント大丈夫なんですか?」
 主人公「ぬう…某Xな魔の剣の4コマ集、裏表紙の美川べるのの名見ただけでわあいイカスぜと買ってみたら実は氏イラスト描いてるだけだったと云う甘く切ない青春のあの頃のようだ!! 以上!!
 窟子仙「誤魔化さないでください!!」

 ちなみに裏表紙にきっちり「イラスト:美川べるの」と書いてあるのでよく確認しなかった筆者が悪いのだが、まあとにかくこの大地がボロボロに荒廃しているのは事実。ならば洞仙として見過ごすわけにはいかない。はるばる自分を呼び付けたニセ部屋神の正体や目的はおろかマフラーの色が違うとか目つきが本物より悪いとか本名が実はピエールとかさえドット絵ではさっぱり判らないながらも、「削岩功」(大地に穴を掘る術)で最初の部屋を作り、いざ入った仙窟には火の部屋神が待っていた。

 火の部屋神「よく来てくれた、洞仙よ!!」
 窟子仙「(気配を見)今度は本物ですね」
 主人公「語尾が『にょ』じゃないしな!!
 窟子仙「それは実はあまり関係ありません
 火の部屋神「…? 何かあったのか?」

 怪訝な顔の部屋神に、ニセ部屋神の件やはるばる呼ばれた件を説明すると、火の部屋神はむうと唸る。彼の云うに、「もしかするとそいつは封印の内側からの使者かもしれん」とのこと。「封印」とはこの大地の地下にある変な扉で、部屋神ですらその内側を知ることができないのだが、その向こうに陽気が吸収されているためにこの大地はこんなに痩せ衰えてしまったのだと云う。

 火の部屋神「まあ詳しくは地下で封印の扉見たら話すさ」
 主人公「階段部屋を見付けろってことですね」

 第11話でも説明したが、階段部屋とは仙窟を作っていると勝手に出てくる部屋で、そこから更に地下の龍穴炉やダンジョンへ行けるのだ。出現条件は「エネルギーを一定量振り込む/部屋を一定数作る/ダンジョン内の仕掛けを作動させる」など。今回は2番目の条件で、3つ目の部屋が階段部屋であった。
 そして、邪精(ザコモンスター。キョンシーとか)を倒しつつ階段部屋を奥へ進むと、そこには確かに巨大な扉があった。押しても引いても殴っても蹴ってもびくともしない。

 主人公「なるほど確かに封印。これは『解封呪』使わないと無理かな?」
 窟子仙「『解封呪』を使うためには龍穴炉に陽気を満たす必要があるんですよね。ならまず仙窟を作らねば」
 主人公「その通りだがお前実に説明的な台詞だな…む!! 履歴書に書けるくらい俺の大得意な悪意に近い気配をまさに今感じる!!(←NASAの新技術を利用してより説明的な台詞に!!)
 窟子仙「開き直らんといてください!!」

 そこに現れた気配の正体は、テレポートしてきた古代日本風の男だった。そういえばテレポートテレポートと書いているが、ゲーム内では「飛天功」と呼ばれる立派な仙術である。

 伊邪那岐(いざなぎ)「ここが、封印の扉ですか…申し遅れました、私はイザナギと申します」
 主人公「東国人か…なんかあるの?」
 伊邪那岐「ええ…私は冥界への道を探していて、この扉の向こうがそれ…と云う情報を掴んだのです。開けてみなければ判りませんが…」
 主人公「いや開けようにも、これが押しても引いても殴っても蹴っても開かないんだよ。なお舐めたり撫でたりしたらどうなるのかは研究が待たれる所です

 待たんでいいと思う。とりあえず伊邪那岐も力技で挑戦してみるが、やはり開かない。仕方ないので「解封呪」を使えるようになるのを待つと、伊邪那岐は一旦帰って行った。

 主人公「しかしホントにこの先が冥界…死者の国だったら俺死人からウェルカム云われたのか…?」
 窟子仙「お似合いのような気もしますが」


仕草とか割と可愛いよね?



 で、封印の扉の部屋の別の扉が龍穴炉に通じていたので、さっそくエネルギーを振り込む。毎回説明するが龍穴炉とは龍脈につながる井戸で…龍脈を大地の血管とすると点滴針のようなもので、ここから陽気(エネルギー)を振り込むと大地が活性化するのである。ここには今度は木の部屋神が待っていた。彼の説明によれば封印の扉は神代に異世界への通路として作れられたらしいのだが、今は向こうがどんな状態なのかさっぱり判らないと云う。

 木の部屋神「判らないままでも、何も起こらなければ問題なかったのですが…3年前から突然、大地の陽気があの扉の向こうに吸収されるようになってしまったのです。それと、火の部屋神の言っていた『貴方を呼んだ者(ニセ部屋神)が封印の内側からの使者かも?』と云うのは、封印の内側に貴方と同種の波動を感じるからです」
 窟子仙「洞仙様と同種!? そんな奇妙で特殊な波動の持ち主がふたり鉢合わせするなんてここはもう倍にして危険度8レベルですよ洞仙様!!
 主人公「じゃあ俺ひとりで4レベルなのか!? しかし…待てよ。3年前…? 俺がこの世界に飛ばされてきたのも3年前。男塾で赤石が無期停学になったのも伊達が退学になったのも影慶が喊烈武道大会に殴り込み掛けたのも邪鬼と聖紆麈がその大会で戦ったのも3年前…ハッ何か関係があるのか!?
 窟子仙「そんなん調べてるヒマがあったらもっと他のことに労力使ってくださいよ…」


 とにかく封印を破らねば謎は解決しない。ならばいつものように仙窟作りである!! カオス屈指の分岐数を誇るこのシナリオ、さてどう進むやら…? つづく。


ひとつマエカオスシードひとつアト

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