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第16話「封印の門・その二」
こちらの世界で云うならちょうどシルクロードにあたるであろう街道を行くふたりの西国人、ケブレス&シャスタの目的は、洞天福だった。ちなみにケブレスは男で騎士、シャスタは女で魔術師。ゲームによってこんなにバランスの良さに差が出るパーティーも珍しい。
ケブレス「で、なんでも仙窟って場所に洞仙とか云う魔王が居るらしい」
シャスタ「洞仙…? どんなことするの?」
ケブレス「よく判らんが、地下にダンジョンを作るわモンスターを召喚するわ大地を滅ぼすわと、やりたい放題だそうだ。これは俺の推理だが、おそらく巨大化したり目からビーム出したり触手を再生したりもするだろう。まあ所詮俺の敵ではないがな!!」
シャスタ「なら味方!?」
ケブレス「なんで!?」
まあ一般人から見た洞仙などそんなもんである。例えば未熟な洞仙が大地を復活させる前に勇者Aに倒されてしまえば仙窟は完成せず、大地は荒廃したままおお勇者トンヌラよ死んでしまうとは情けないやつじゃと噂になって「洞仙は大地を滅ぼす」とか思われているのだろう。ちなみに死んで情けないと云われるのはなんか哀しすぎないかい君。
ケブレス「とにかく骨のある相手だと良いがな。オラわくわくするだ!!」
シャスタ「……」
ケブレス「いやここにつっこみ入れてくれないと俺ズバリ単なるバカみたいじゃないか!? …あれ? シャスタ…またはぐれやがった!?」
ケブレスがほんの一時目を離した隙に、先刻までとなりを歩いていたハズのシャスタは消えていた!! もしや何らかの事件に巻き込まれたのか!! このミステリーの結末やいかに!? そして現場に残された水滴の付いたバナナの皮との関連は!? 次回「冷凍バナナ殺人事件」の謎を解く!!(←タイトルが既に謎を解いてないか…?)
さて一方仙窟。今まで書いていなかったのだが、実はしばらく龍穴炉にエネルギーを振り込むのをさぼったままでいると、龍穴炉のある部屋中にカビだのキノコだのがにょきにょき生えてくるのだ。なんかある意味すごいリアルである!!
主人公「いやそういう箇所をリアルにされても!?」
馬明仙「もー毎度毎度!! さっさと龍穴炉に行くわよ!!」
主人公「むー…ややなあきっと大学の4年間で既に人の住処なんだかなんかの養殖小屋なんだか判らん状態と化してしまったSさんの部屋みたいになってるんだぜ? 床に置かれた教科書の山の中、厚い埃を突き破って生える神秘の生命ドキュメンタリー!! 君は今46億年の奇跡を目の当たりにした!!」
馬明仙「過去形!?」
で、龍穴炉は案の定得体の知れない巨大なカビで埋もれ、野生の王国と化したその中を巨大なカマドウマ(便所コオロギ)がぴょんぴょん跳ねていた。いくらSさんのステキハウスでも1メートルサイズのカマドウマの棲息は確認できなかったと云う事実を考えると、この部屋は少なくとも4年間以上放って置かれたわけである!!
主人公「置いてねえ!?」
馬明仙「ここは大地の陽気の集まる場所だからカビとかカマドウマもすぐ成長するの!! とっとと掃除するわよ!!」
まあ所詮カビとかカマドウマとか。最強装備で知力を底上げしているため、真空の刃がぽんぽん飛び回る仙術「空斬」一発で片付けることができた。ちなみにこのザコ敵ら、倒しても龍穴炉にエネルギー振り込まないと、また次のターンにすぐ復活するので気を付けよう。
しかし筆者が幼稚園の頃あった「野生の王国」と云う番組、なんかオープニングがやたら怖かった記憶しかないのだがアレは何か、「ジョーズ」系の動物に襲われるホラーかなんかだったのか。
さてその頃、地上の飛天石には洞天福国洞仙討伐部隊の面々が集まっていた。飛天石とはいわゆる転送装置で、仙窟への侵入者はたいていこれを使ってにょろにょろ転移してくるのだ。で、そんなところにやってくるひとりの異国人、シャスタ。はぐれてしまったケブレスを探しているうちに仙窟に着いたらしい。
シャスタ「あのぉ…仙窟ってここかしら?(ケブレスが先に行ってるかもだし…)」
兵士A「そうですが…あなたのような細腕の女性がひとりで仙窟へ行くと!? これは純粋に下心のないジェントルマンとしては私も付いていかなければ!!」
僧侶A「ぬうならば私も!! 愛の伝道者としてか弱い女性をむざむざ危険にさらすわけには!! そして鮮やかかつ速やかにフォーリンラヴ!! キラーン!!(←自分で擬音)」
シャスタ「ごめんなさい」
ちなみにこの僧侶はホントは前のシナリオ「大地の樹」の愛で闘う僧侶とは違うんですが、なんとなく同じにしてみました。もう見た目からして嫌がり顔(重要キャラは会話中表情が表示される)なシャスタに構わず、兵士Aと僧侶Aは無理矢理シャスタに同行するのだが…、飛天石から転送された場所は、ちっとも仙窟でなく、なんか単なる水曜スペシャルな洞窟だった。岩の割れ目からかすかに入る光だけを頼りに生きる雑草が、それでも美しい。
シャスタ「…ホントにここが仙窟なんですか…?」
僧侶A「ウワッハハハ!! そんな些細なことこの46億年の愛の奇跡の前にはもはや何の意味も持ちませんとも!!」(←持てよ)
兵士A「おかしいな…飛天石壊れたかな?」
きっとあんまりに不純な動機に飛天石が気を利かせて今ここにふたりきりの甘いひとときを与えてくれたのさ!! で、迷いに迷ってそれから数時間後。何時の間にやら兵士A&僧侶Aとはぐれたシャスタは(今こそきっと兵士A&僧侶Aはふたりきりの甘いひとときであろう)、ひとり仙窟の龍穴炉へと続く階段部屋に辿り着いていた…が、そのとき、彼女を止めるように火の部屋神が現れた。
シャスタ「誰!? あらなんだ勝俣さん?(←なんかビミョーに似てると思うのだがどうか)」
火の部屋神「違う!! 俺はこの地を守る者。女…何故無益な争いを望む? 洞仙はお前の考えるような魔王ではない。大地のためにたったひとりで闘っているのだ」
シャスタ「大地のため…ですか?」
火の部屋神「そうだ。何が正しいのか、その目で確かめるといい。お前の使う術は彼の助けとなるだろう」
シャスタ「それは…洞仙を手助けしろってこと? …正しいこと、か」
部屋神が消えても、しばらくシャスタは考え込んでいた。そして、意を決したように階段を降りる。龍穴炉には、主人公と馬明仙が待っていた。
シャスタ「洞仙さんはこちら?」
馬明仙「侵入者ね…何が目的?」
シャスタ「洞仙に興味が湧いて会いに来た…って言ったら信用してくれる?」
主人公「うん!!」
馬明仙「待ちなさい!! 初対面の人いきなり信用して『うん!!』はないでしょ!!」
主人公「そっそうか!? やはり礼儀正しく『はい!!』だね姉御!?」
馬明仙「いや重要なのはむしろそこじゃなくて!!」
ともあれ、シャスタは洞仙の仕事に興味が湧いてきたのでしばらく手伝ってみたいと云う。洞仙の仕事は侵入者と戦うことでもあるのだが、ソレも別にいいらしい。覚悟できてるんだか何も考えてないのかよく判らん人である。
シャスタ「よろしくねー」
主人公「ま…まあよろしく」
というわけで、シャスタが仲間になりました。
で、そのとき、地上では。シャスタとはぐれたなりに地上に帰れはしたらしい兵士たちがまた、飛天石の周りで休んでいた。と、そこにやって来たのは、今度は玲蘭(れいらん)。この日記ではすでにおなじみの賞金稼ぎである。兵舎でここの洞仙の賞金が金70万と聞き、満を持しての登場だった。
玲蘭「(賞金額が)いとしの洞仙様に会えるのはここね★」
僧侶A「いとしの洞仙様だって!? 女ッ!! さては貴様洞仙の仲間か!? ズギューン!!(←自分で擬音)」
玲蘭「ぷんすか!!(←とりあえず対抗しておかないと気が済まない性格)あんた私を誰だと…」
兵士A「はっ!? どっどうぞお通りください!!」
玲蘭を見知っているらしい兵士Aが僧侶Aを止めると、玲蘭は気分良く飛天石から仙窟へ転移して行った。
僧侶A「どうしたんだいベイビー!? 君ともあろう者が悪の道に行く少女を止めないなんて!!」
兵士A「今の女、玲蘭だよ!!」
僧侶A「玲蘭って…守銭奴の玲蘭!?」
兵士A「その死神の玲蘭だ!! あの金のためならなんでもやると評判の!! あの国内随一の賞金稼ぎの!!」
兵士B「あの赤く塗るだけで3倍の速さになる!!」
兵士A「いや…ソレはちなみに人類なのか? しかし…これは洞仙も災難だわ…」
さあ次回、封印の扉第一段階の先に待つ人とは!? そしてケブレスはシャスタに合流できるのか!? あと冷凍バナナ殺人事件の真犯人は!!(←物語に関係ありません)…つづく。
▲ひとつマエ■カオスシード■ひとつアト▼
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