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第65話「招かれざる客・その二」


 そんなこんなでエネルギー4000を振り込んだ時点で侵入してきたのは東国の侍×14人だった。なお、このゲームのザコキャラは中国(?)<西国<東国の順でパワァフルになっていき、最強クラスに位置する忍者の強さときたら途轍もなく、自分の身体より余裕で巨大な手裏剣をソレはもう嬉しそうに際限なくひょんひょん投げてくる物理的にとても変な生物なのだがもちろん忍者なので大丈夫です(←何故)。で、そんななので忍者が集団で来られるとハッキリ云ってボスキャラより余程怖い。と云え忍者と戦うのは通常のシナリオでは単体相手か、複数相手でも忍者×侍と云うコンビなので(←コンビに普通『×』記号は使いません)忍者てんこ盛りと云うことはないのだが、ここでは有り得るのだった…。

 侍「この地に、古来より伝わる秘宝が眠るという。それさえ手に入れられれば我が祖国再興も夢ではない。処で何者だ、貴様」
 主人公「そりゃこっちの台詞だっつーの!! 『この地には古来より伝わる秘宝が眠るという』!!」
 侍「いやそっちがそっちの台詞なのか!?

 正解はたぶん「何者だ、貴様」の方です。処で冷静に考えるとソレはいったいどんな秘宝なんでしょうか。ムー大陸浮上装置?(←ありません)

 侍「まぁ、いい。何者であろうと我らが祖国の復興を邪魔する者はこの刀のサビとなる運命なのだ」
 主人公「そういう奴等は今までもたくさんいたけど(第64話参照)、もっと大人数だったぜ。たった、14人でどうにかなるかな?」
 侍「まだ気付かぬか愚か者め。我らが祖国の必殺の仕事人よ、姿を見せてやってくれ!! 先生、お願いします!!」
 主人公「なんでいきなり先生!?

 呼びかけに応じ、ドロンパと現れる忍者2人。いかに忍者とは云え、たった2人増えた程度なら別に怖くはない…と主人公が安心すると、侍は不敵に笑い、「我らが一族はそのきたえぬかれた肉体から1人で7人分もの働きをこなす事ができる」などと抜かし、そして言葉通り分身の術で忍者が一気に14人に!! 男塾死天王の卍丸(ただし復活後にパワーダウンしたらしい量産型)でもとてもそこまではできないさ!!


約4人分。



 まあともかく戦闘自体はそんなきついこともなく「空斬」であっさり勝利。そして、ついに最後の5000エネルギーを振り込んだとき、侵入してきたのは青く、一つ目の邪精…土功だった。さすがに、一瞬驚く主人公とさくら。

 主人公「こいつ…」
 さくら「ボッチの色違い?」
 主人公「いや色違いって言い方は彼らに失礼だぞ!? せめて2Pカラーとか
 さくら「そっちの方が失礼じゃないの!?」

 ともあれ、土功を前にした瞬間、その場は何か得体の知れない気配に包まれた。そして、何が起きたのか戸惑うふたりに、何処からともなく声が掛かる…。

 声「助けてください…」
 主人公「この声は!?」
 さくら「!! ボッチだわ、ボッチが話しかけてる?」
 主人公「ちなみに『゛』は1マスなのでステータス画面では正確には『ホ゛ッチ』と書かれています
 さくら「そんな正確さは今まさにどうでもイイでしょ!?
 ホ゛ッチ(←あ)「私は、かつて西湘という街で暮らしていたリンカイという者です」
 主人公「? そのリンカイさんが、なんでそんな格好で、しかもたまごに入ってたんだ?」

 問うふたりに、リンカイと名乗ったボッチは静かに語りはじめた。処で目の前の化物放っておいても今まさにどうでもイイんでしょうか。やはりアレか、合体中とか変身中とか巨大化中には攻撃を出来ないと云うルールがここにも。

 リンカイ「西湘には奇妙な風習があり、数年に一度、街の娘が旅に出されるのです」
 主人公「あれって30年に一度じゃなかったっけ…?」
 リンカイ「知ってるんですか!?」

 おそらくこれ平行世界の扱いなので、ここの主人公&さくらは知らないことにしとかないといろいろ矛盾が出るのだが、その辺の裏話は第58話第59話の大僧正の自白(←?)をご参照あれ。たぶんこっちの西湘では数年に一度なのだろう。そしてあっちの西湘では数日に一度で、更にそっちの西湘では数秒に一度の割合でピクミンが食われてるのだろう(←なんか違うモノに)。

 リンカイによれば、旅に出ると云うのは表向きのことで、実際は彼女たちは街を護る為に全員、妖怪のイケニエにされていたと云う。そして、今目の前に居る彼ら…彼女たち土功こそ、その妖怪に魂を抜き取られ、姿を変えられてしまった犠牲者たちなのだと。

 リンカイ「私も、あと少しで彼らのようになるところだったのを、あなた方のおかげで心だけは人間のままでいられました」
 さくら「なんとか、助けてあげる方法はないの…?」
 主人公「…。こうなったら、やるしかないんじゃないのか?」
 リンカイ「彼らの生を断つというのですか!? そんな…この世での生すら、まっとう出来ずにいる彼らの生命を終わらせるなんて…」
 主人公「このまま生きてたって意味なんかないだろ。だったら、さっさと次に行ったほうがマシだと思うけどな」

 次。主人公はそう云った。次はあるのだと。無益な殺生をしない洞仙である彼だからこそ、奇妙な説得力のある言葉だった。その言葉にリンカイも揺れ、長い沈黙の後、口を開いた。

 リンカイ「…………。わかりました。では、やってみましょう。でも。彼らの強さは並じゃありませんよ…」
 主人公「大丈夫!! 俺達の強さも並じゃないって!! 武器だけで本来の4倍以上もの攻撃力になってるし!!(現在13レベルで生の攻撃力約80→『天尊聖宝書』装備で約270)
 さくら「あなた装備無いとそんな弱いの!?
 主人公「いや君もだろ!?」
 さくら「私はせいぜい2倍よ!?」

 さくらさんは装備が「天尊折伏杖」で攻撃力はあんまり上がらない(その分知力が上がる)ので実はどっちもどっちです。処で「4倍以上の攻撃力」とはいったいどのようなモノかと云うと、これが意外と遠くはない。力士の張り手の破壊力は500kgとか普通らしいので、これはもう一般人のパンチ力の4倍はあるハズ。もちろんそこまで行くのは普通無茶だが、無理ではない。つまり簡単に云うと今の主人公は力士並の攻撃力を持っている。もっと簡単に云うと主人公は力士なのだ!!(←簡単に云い過ぎです)てな訳で、これだけの破壊力を持ってすれば案の定あっさりと勝負は付く。土功は斃れ、呪われた生が解放されて行く……そして。

 主人公「…成仏してくれよ」
 さくら「ねぇボッチ…じゃなかった、リンカイさん。あなたは、これからどうするの?」
 リンカイ「さっきの言葉で目が覚めました…。今まで、私…臆病だったのね」
 さくら「? リンカイさん?」
 リンカイ「私も、もう元の姿に戻ることはかなわぬ夢…それは、たまごの中にいた時もわかっていたことなのに…でも、一歩を踏み出す勇気がなかった。この世界での生を終わらせ、私に少しでも早く、次の人生を歩ませてあげること…それが、私にとって一番の幸せ。今なら、出来ると思います」
 主人公「……」
 リンカイ「今まで、ありがとう…そして……さよなら……」

 言い残し、消えて行くその光の中に、華奢な少女の姿が見えた気がした。


 …つづく。次回はついに「最後の仙窟」です。でも「ドラクエ4」日記もあるし、カオスにしても「仙獣界の皇帝」や「狂気の魔獣」も書きたいとこなので、何時終わるのかもはや筆者には予想ができません(←おい)。90話くらいにはなるかもなので(…)まあ気長にお付き合いくださいまし。


ひとつマエカオスシードひとつアト

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