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第59話「土功の怪・その九」


 単身主人公の乗り込んだ蒼宝殿…巨大な銅像に見下ろされるその空間は、無気味に静まり返っていた。そしてひとり、特にどうと云うこともなく佇むさくら。

 主人公「さくら!! 大丈夫か!?」
 さくら「風水の乱れを直したのはおまえか……礼を言うぞ、この愚か者が!!」
 主人公「やーお礼を言われる程のことはしてないさ!!」
 さくら「いやまず違和感を感じろよ
 主人公「!! ハッ!? 実は今の台詞はちっとも礼になってないのではないか君!?
 さくら「ちなみにツッコミ入れるべきなのは割とそこじゃないと思う
 主人公「!! きさま…さくらじゃないな!?(←遅)このなんとなく仮称ブラックさくらめ!! さくらをいったいどうした!?」
 ブラックさくら「今から、死に行く貴様が知る必要はない!!」

 さくらは言い捨て、笑いながら力を集める。集まった強大な力を主人公に向け、ソレを解放しようとした、まさにそのとき。

 ブラックさくら「死ぬがいい」
 声「そういうわけには、いきませんね」
 ブラックさくら「誰だ!?」
 主人公「王蒼幻(わんそうげん)!? 処でなんかさっき(第58話)の雷漢(らいかん)と登場パターンが全く同じなのは何か狙いがあるんですか!?」
 蒼幻「いえ別に。しかし、今回の西湘の一連の事件には、やはり貴方達は無関係だったようですね。いや疑っていたわけではないのですが、あれからずっとあなた方の行動は一部始終見させていただきました」
 主人公「あくしゅみだな」
 蒼幻「何かその平仮名が実に原作版のサザエさんみたいなツッコミですね(←お前もな)。ともあれ今さくら殿は、あの天玲球に封じられる魔物によって身体をのっとられているのです。私もお手伝いしましょう」

 言って、蒼幻が念を込めると、さくらがその動きを封じられ、銅像の一部に隠されていた天玲球がその姿を現す!!

 蒼幻「あれこそが、天玲球。さくら殿をのっとっている、そして今回の一連の事件の張本人です。どうです? もう、さくら殿の身体はあなたの自由にはなりませんよ」
 ブラックさくら「おのれ…みくびるなよ。こんな小娘の身体などに頼らずとも、貴様らごときに遅れをとるワシではない!!」


とても。



 ブラックさくら「来い!! 一人ずつ片付けてくれる!!」
 主人公「二人一緒にって言わないとこがせこいよな」
 蒼幻「まったくですね」
 ブラック「いやあ願いがもしも叶うならここはひとつ0.25人ずつ片付けたいんですが(←もはやハゲ丸並)

 で、主人公だけ異次元に引き込まれてしまう。辺り一面何もない空間に、魔物の声だけが響く。

 魔物「ここが、貴様の墓場となる」
 主人公「俺としてはこんな寂しい所が墓場ってのはかんべんして欲しいな。墓場は、海の見える丘の上って決めてるんだ」
 魔物「て云うか洞仙の癖に!?」

 まあそんなこんなで現れた魔物は巨大な爺だった。おっはーのポーズで変なファイアーボールをぶちかましてくるファンキーなナイスガイで、正式名称は魔法爺とか天狗とかタメゴロー(←何故)とかイロイロあるらしいが、私的ボスキャラランクで上から第3位の実力を誇る実力者である!! ちなみに実は下から数えても第3位なのでこれはたいして強くないんでしょうか?(←聞かれても)更にちなみに弱い順から鳥<猿<爺<骨龍<亀。そんななのであっさり倒すと、異次元空間が揺らぎ、主人公はソレに飲み込まれる。
 そして蒼宝殿で、天玲球が粉々に砕け、主人公が現れる。魔物を倒したことを告げ、さくらの容態を問うと、蒼幻はにこやかに応えた。

 蒼幻「もう大丈夫でしょう。天玲球の魔物が倒れた今、その呪縛から意識が解放されるのも時間の問題です」
 さくら「あ…あら…? 私、いったい…あの時、龍穴炉で光に包まれて…そしたら…今ココにいて……」

 何か目覚めるや否や灰色の宇宙人に拉致されて今まさに退行催眠で閉ざされた記憶のドアを開けている途中ですと云うカンジのさくらさんだが、ともあれこれで一件落着と云うことで、蒼幻は帰って行った。何かいろいろ忙しい身だそうだが…。


 さて、一方その頃蒼宝殿の入口。土功と戦う4人。倒しては増える土功の前に、さしもの実力者たちも疲弊して来たそのとき、強烈な光が走り、一瞬にして土功たちが消滅した。中でのケリがついたのかと、一息つく4人の前に、主人公とさくらが現れる。事の次第を問う主人公に、他言無用と前置きし、大僧正はついに全ての謎を語る…。
 30年に一度開かれる蘭陽祭には、実は裏の儀式があった。蒼宝殿に祭られた天玲球は、30年に一度…つまり、蘭陽祭の度にいけにえを差し出さねばその封印の効力を保てなかったのだと。先代の大僧正も、先先代も、そのまた先先先代も、妖怪が目覚めてしまうのを恐れ、街の娘達を差し出していたと云う…。これが、毎度選ばれる西湘クイーンが旅行に出て帰らなかった理由である…。

 捜神死郎(そうじんしろう)「だが、あんたはそれをしなかった」
 大僧正「何も知らない娘達を、妖魔に差し出すわけにいくか!!」
 主人公「ちなみに俺毎度思うんだが別に『何も知らない娘』である必要はないのでは?
 大僧正「それもそうじゃな…(←おい)」
 死郎「しかしおぬし、思ったより感心な坊さんだったんでござるな」
 主人公「でも、いけにえを捧げなかったおかげで、街には邪精があふれ…大地はカラカラってわけか」
 大僧正「妖怪があふれ出てきたのも天玲球の封印が解けたのも!! 全てはお主のせいであろうが!! 確かにワシは儀式を行わず、娘達をいけにえに出さなかった。しかし…天玲球の封が破れる事もないように幾重にも蒼宝殿に術を掛けたのじゃ!!」
 主人公「それでも邪精は暴れてたじゃねーか!!」
 大僧正「大地に気を送り封印の効果を弱めたばかりか…最後には蒼宝殿の封印まで解いてしまったのは誰じゃ!!」
 主人公「すんませんズバリ俺です!!」

 そうらしい。まあでも大地が荒れてたからそれを直そうとしたのだし、結果として魔物はもう居ない。数百年の懸念はもう無いのだ。

 死郎「まあまあ、しかし妖魔は既に倒された。これでめでたしめでたしであろう?」
 主人公「あんたが全て悪かったってわけじゃなかった訳だ」
 大僧正「この!! …ふん。憎めんやつじゃ。…。洞仙も全てが悪ということでもなかったという訳か。これで全ては元通りじゃな。さて、ワシは祭りの支度をせねば」

 ここでいきなり笑顔になるのだが、なんかさんざボコられた上にこうまで云われてなお憎めんやつじゃとは、もはやめちゃくちゃ良い人ではないのか大僧正。ボクにはむしろ主人公の性格の悪さがとても際だって見えます。

 さて、地上に出てきた主人公とさくら、死郎。街を脅かしていた全てはもう無く、晴れ晴れとした気分で祭りを楽しめるハズだったのだが…。

 主人公「これで、やっと当初の目的が果たせるぜ」
 死郎「当初の目的とは何でござる? もしや祭りの破壊?
 主人公「なんで!?」
 さくら「最初は老師に、祭りがあるから遊んでこいって云われて来たのよ」
 主人公「で、来てみたら結局化け物退治って訳さ!!」
 死郎「そいつはまったく、とんだ祭りになってしまったでござるな!!」

 みんなして笑って、そして祭りを楽しめるハズだったのだが…。そのとき、みしりと云う音が聞こえた。怪訝に立ち止まったその瞬間、大地が揺れる!! そう、大地が復活するときにはいつも地震が起こるのだ!! そして、第51話で云ってた伏線が今まさに発動し…。


 そして、辺りは瓦礫の山だった。蘭陽院などもはや見る影もなく、地面に大きく開いた穴に埋没している。そんなところに何故こんな大穴が開くのか? 答えはヒトツしかない!!

 主人公「…これは」
 さくら「(ピコーンと頭に電球)も、もしかして……仙窟のせい……だったりして」
 主人公「言うな!! あと前から思ってたんだがこの電球による表現方法はなんかとても古代中華風味な時代背景にそぐわないような気がします
 さくら「言うな」
 大僧正「ど・う・せ・ん………」
 主人公「いや、あの…お怒りは、ごもっともです。はい…。…。さくら、行くぞ!!」
 さくら「えっ!? ちょちょっと待ってよ!!」
 大僧正「待たんかこら!!」

 待ちません。そんなこんなでもう祭りどころではなく、雷漢と天転(てんてん)は主人公たちを追い、死郎も逃げ…ひとり残された大僧正は瓦礫の山を前に、アニメだったらきっと周りから黒い闇が迫って来る中で顔だけ丸く残って呟いて終わるようなシーンを想像できそうなカンジだった…。

 大僧正「とほほ……やっぱり、洞仙なんぞに関わるとろくな事にならんわい!!」

 …終わり。次回は新シナリオ「八面鏡」です。


ひとつマエカオスシードひとつアト

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