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−−パート6:マッセー大学編−−



 さて、なんか馬鹿な話しばっかりでそろそろ「この筆者さては勉強してねェな? もしや君落第しただろう!?」とか思われるのもなんか切ないので、いよいよ大学での一日を、ちょっと真面目に書くことにする。なお以下のレポートは全て真実である!!(『特命リサーチ』っぽく)

 予め説明しておくと、筆者の大学の場合の留学プログラムは、9時から12時まで長期留学生クラスに混じって勉強、昼休みを挟んで13時から15時までが内輪のクラスだった(アクティビティがある日は15時以降)。他の大学はまだ別の短期留学プログラムもあるハズ。

 午前クラスでは、何の因果か筆者、同級生がひとりも居ないクラスに編入された。他のクラスはみな大概数人はいると云うにおのれさては裏工作が裏目に出たか!?(←してません)まぁせっかく外国に来たので別に知り合い一緒でなくて良いのだが。7、8人ばかり知り合いで固まったクラスはむしろ可哀想かも。

 で、筆者の入ったクラスはえらい国籍豊かだった。ニュージーランドと云う地域上、留学生はアジア・オセアニアの人ばかりなのだが、中国韓国はもちろん、タイやラオス、ミャンマーなど、あの辺の国は一通り制覇しているらしい。英語が話せるなら国籍はあんまり関係ないのだが、日本人は筆者と、大阪の会社から研修に来てるおじさんだけだった。

 授業内容は別に日本でやってることと変わらないんで、書いても別に面白かないと思う…が、コレを読まれてる方がみな外国語専攻って訳じゃないので、いちおう基本的なことを書くことに。

 大学の外国語の授業は会話中心である。文法とかは高校までに習ったので充分なのだ。よく「受験英語は実生活には役に立たない」とか云われるが、そんな訳はなく、ただ「会話にはあまり使わない」だけである。そりゃあ確かに、学校で習ったような文で「私はマイケル・ジェイムスです。私はロサンゼルスに兄が居ます。私はイナゴの佃煮が好きです」(筆者が中学1年の時の英語の教科書『ニューホライズン』より。記憶のみにつきなんか間違ってるかもしれないが気にしてはいけない)などと話す人間は居ないが、それは日本語でも同じでしょ?
 例えば、チョー支離滅裂な女子高生口調ってカンジ?とまでいかないまでも、自分の話し言葉について考えて欲しい。それはけして「文法的に正しい文」ではないハズで、誰も国語の教科書のように「吾輩は猫である。名前は磯野タマである」などと話す猫はいない。いやそもそも猫は話さないが、とにかく「学校で習う英語(の文法や単語)」は知っておいて損はない技術である。ちょうど国語の文法がそうであるように、書くときにスラングを使う人間など居ない。
 まあ会話なんて、公的な場でもなければ、意味が通じる限りどんなんでもいいだろう。たいていは先方も「ネイティブスピーカーじゃないしー」と思ってくれるので、気にすることではないハズ。むしろ逆に、半端にネイティブっぽい口語英語(俗語とか)を使うと気を悪くされるかもなので注意しよう。たまに「スラングで話そう」とか「黒人英語を使ってみよう」とか云う英会話の本があるが、それは関西人でもないのに関西弁話すようなモノである。割とケンカ売ってる。


 フリが長くなったが、ともあれ授業は、あるテーマについて会話したり、英語のビデオ見たり、プレゼンテーションしたりである。日本とニュージーランドの授業の違いは、まあその内容だけだろう。

 この時筆者が居たクラスでのプレゼンは、各国の生徒が自国の文化について解説するかんじのモノだった。筆者は真面目なので(?)「日本、アジア、ニュージーランドにおけるジェスチャーの違い」など、実に真面目そうに聞こえる(聞こえるだけだが)テーマを持って来たのだが、筆者以外の生徒のプレゼンといえば「ラオス料理の作り方」、「タイ料理の作り方」、「韓国料理の以下同文」、「ベトナム以下同文」、「にほ以下同文」と、なんか知らんが料理ばっかりであった。いやそれはどれもおいしかったし食費が浮いたんでもう大歓迎だったが…なんか違う気がする。
 ちなみに筆者のプレゼンのジェスチャーってのは、例えば「別れるときの手の振り方」とか「お金を表す手の動き」とか「ガッツポーズ」とか「挑発行動」とか「道端に落ちている硬貨をさりげなく拾う方法」とか(←一部嘘)、なんかもうパントマイムの世界だが、とにかくそういうのを実際にやって比較しただけである。ぜんぜん真面目でない。これがかれこれ30分も、いちいちみんなのつっこみ(私の国ではこうやるわーとか)の相手をせねばならんので大変だったが、いや実は楽しかった。


 午前の授業はまあこんなとこである。次は昼休みなのだが…以前も書いたが、マッセー大学のキャンパスは広い。どれだけ広いか云うと実に東京ドーム×杯分である!! …とか謳われたって筆者のような地方人はそも東京ドームの広さなぞ知らんので「で、ソレはどれくらい?」である。まだ「3000畳の広さ」とか「そのまんま東の額の100倍の広さ」とか「バイオの力で驚きの広さに!!」とか云われた方が判りやすいと思う。とりあえず筆者、マッセーのキャンパスがどれだけ広いのやら正確に知らないのでそこはソレ、あまり気にせぬよう。数字にこだわるのは夢のない大人になってしまった証拠だと星の王子さまも言ってるし、要はバスで一周するのに結構な時間かかったり、果樹園があったり、例の白鳥の憩う池だか川だかがあったり、お馬さんがぱっこぱっこ歩けたりと、なんとなく判ってくれればよし(←いいのか)。

 そんなに広いだけあって施設もまた多い。大小様々の講義室や、英語の本ばっかりで実に不便な(背表紙タイトルが横書きだから探し辛いのなんの)図書館などの基本装備はいいとして、他にも文房具屋併設の本屋や郵便局、写真屋、旅行代理店など、こりゃあ街行かんでも生活できるかもしれんレベルの設備である。実は学生のフリして住み着いてる人間とか居ないか。例えばそこの広場で昼休みに歌ったり大道芸したりしてる君たち?

 でもってある意味最重要なインフラと云えば学食、カフェテリアである。余談だが筆者の大学って中途半端に国際的なので、学食は「カフェテリア」、図書館は「クレバーハウス」、売店は「カモン」等云うのだが(←単なる店の名前が混じってないか?)ともあれ、マッセー大学の学食は国際色豊かである。256色くらい。留学生の持つ多様な文化はもちろん、宗教や予算、ぼくピーマン嫌いなのでちゅーと云う好き嫌いなどを考慮してか、ソレはもう各国の料理を好きなように食べることができる。ご飯もある。
 まあ筆者は郷に入っては郷に従えってことで芋ばっか食べてたのだが、「ウェッジ」と云う、フライドポテトに肉味付けてかりっと揚げたヤツにマヨネーズ掛けたのがおいしかった。後に日本の「ステーキワン」でも発見できたが、なんでも、形状がウェッジ(講堂とかのドアが閉じるのを押さえる半月形のくさび)に似ているためそう呼ぶらしい。あるいは寿司屋で通が生姜をガリ、似非通がシャコをガレージと呼ぶような物か(←違)。正式名称は不明だが、説明する分には「揚げ芋(肉味)」でいいと思う。でもマヨネーズの味は日本と多少違った。なにせ瓶に入ってるのだマヨネーズ。

 あと学食以外にも喫茶店みたいなとこがあり、ここのチーズケーキはえらい旨いので、行く機会があったら(←あるか)ぜひ食べるといいだろう。3.75ドル(当時1ドル=70円くらい)のショートケーキなのだが、これが非常にでかい。ビデオテープ3、4個重ねて半分に切ったくらいの大きさ。なんかもうぜんぜんショートでないのだが、筆者にとっては充分昼食に足る量がデザートなあたり、さすが異国である。とかく外国は食べ物の量が多いと云うが、ニュージーランドも例外ではなかった…しかし外国の食べ物の量は、体格もそうだが、主食が腹持ちしないパンであるが為のハズ。ニュージーランドの主食:芋ってパンほどではないよね…?


 さて、次は午後の授業。これは筆者の大学の連中のみのクラスである。余談だが、同時期に留学していた某大学の人たちは人数が多すぎるとのことで、朝から夕刻まで自分たちオンリーのクラスであった。せっかく地球の裏側に来てまでソレって、なんかもったいなくない…?

 午後クラス担当はリチャードと云う名で、当時28歳。ちょうどこの時期ニュージーランドで劇場公開されてた映画の「ビーン」でミスタービーンに振り回される美術館員役のピーター・マッコニル似。いやホントに。オックスブリッジ(←どっちだか忘れた時に便利なオックスフォードとケンブリッジの合成語)卒のインテリである。それでなんでこんなとこで日本人留学生の相手してるのかと云うと、なんでも以前日本で教えていた経験があるためらしい。そんななのでこの兄貴実は日本語ペラペラで、「傘が何本も寝てる絵」を描いて「重ねる」など、実に笑い所のよく判らないジャパニーズオヤジギャグのレパートリーを幾つか有していた。なんかオックスブリッジの名が泣いていそうではある。まあローワン・アトキンソン(ミスタービーンの人)だってオックスブリッジ(←やっぱり忘れた)の人だし、たぶんイギリスってそういう国なのだろう。

 午後クラスでの授業も日本でやってるのとおんなじで、要は駅前でヨクデキマシターとやってるアレなかんじを想像して欲しい。しかし英語教師がみなあんな特訓を受けているわけではないので注意されたい。重し付けてテキスト開く練習やヨクデキマシターの練習するなど、おそらくNOVAの講師陣だけであろう(←NOVAではしてるのか)。実際英会話の授業は楽しいもので、使ってる言葉が英語なだけで、あとは世間話やゲームをしてるのとあまり変わらない。これがディベートの授業となるとまた違うのだが、このクラスではこんなとこであった。

 そして、今日も一日の授業が終わる。帰国の時は確実に近づいていた……つづく。


ヒトツマエヒトツアト

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