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第17話「扉の向こうに光る空はあるの?」


 さて、ここで時間は少しふにょふにょとさかのぼる。折りも折りマグたちが第八帝国巡洋艦を不可抗力(?)で沈め、なんかもう国際問題に発展して毒ガスとかUボートとか出てきかねないデンジャーな状況にいたころ…から書き始めると、少しふにょふにょとも何もとてもぶにょぶにょとさかのぼりすぎてソレだけで日記5話分くらいすっとんでいきそうで、ソレだと挿し絵のネタがないもとい冗長にすぎるので、今回は簡潔に書こう。
 要するにその時のリニアパワー全開に伴い、ある場所で謎のアラビア系移民ユルカが目覚めたのだ。きっと冬眠していたところにリニアな磁力がエレキバン効果を発揮して体温が急上昇したのだろう。以降ユルカはスーパーアラビアンと名乗り、なんか画面右からは左、左からは右へとワープできるという少し妙な能力を駆使して悪人と戦うかと思いきやさにあらず(←若年層置いてけぼり)、彼は今ホワイトヘッドの部屋にいた。リニアも一緒。窓に切り取られた、まだ明け切らぬ薄曇りの空がどこか淋しい。

 「おお、来たか。鍵(マグが遺跡から集めた例の珠)は揃った。これでやっと先史の力が手に入るのじゃよ?」
 残された時間がないのかやたらとドッキドキ(←ご老体のドッキドキは心臓にかなりの負担がかかるのでよく完全犯罪に利用されます)、はやる気持ちのホワイトヘッドに、しかしユルカは答えず、掌に光を喚ぶ。惑うような踊るような、マグを弾き飛ばした光球の輝きに照らされた表情は、冷たさ以外の何も語らないままに。
 「ふっ…あいにくだが、お前はもう用済みだ」
 「なっなんじゃと…ッ!? がはッ!」
 光が、ホワイトヘッドを弾き飛ばした。壁に激突し、そのまま動けないホワイトヘッドにはもう興味もない様子。そして、ユルカとリニアは床に光る魔法陣に消えて…。


 「てなわけでやって来ましたソシエテ内! リニア居ないとつっこみ役が居なくてラクガキひとコママンガが困るから早く見付けようぜ!!」
 「マグ…それ困るところが少し違うわ」(←代理つっこみ役)
 ちなみに今のメンバーはグレとペッパー。リニアが居ない現状では、つっこみはもとい回復はアイテムかペッパーの「ナオリン弾」に頼るしかないので、せめてもの足しに先刻改造&技修得しまくってきたのだが、ソレでもかなり心許ない。

 「しかし…ホントに誰もいないな。いよいよ中に取り残された人の生存は絶望的と思われます」
 「なんか喋りが変よマグ…とりあえず局長室でしょ」
 だいたい誰に話してるのか。ともあれ誰も居ない早朝のソシエテは、真冬の夜ヒーターが壊れたのに気づかないまま翌朝迎えた時の熱帯魚の水槽の雰囲気にも似て、実にもの哀しい静寂に包まれていた。金魚など氷漬けになっても融かせば泳ぎ出すというに、グッピーの根性のないこと(←無茶云うな)。

 で、その局長室。例によって扉をジャンプキックで開けて入ると、未だ乾き得ぬ血の浸み、なお歩く度に嫌な音を立てる絨毯の上、もはや原形を留めていないナニかの中、あの三度笠だけが変わらず残って…などと云うことはなく、ただ壁際にホワイトヘッドが、ぴくりとも動かぬままに倒れているだけだった。
 「…そうか…間に合わなかったか」
 「おお…マグくんか…。わしはとんでもないことをしてしまったのじゃよー。何故か先史の鍵の在処を知っていたあの少年の云う通りに君に鍵を集めさせ、先史の知識と発見の手柄は全てわしのものと云う計画だったのじゃが…やはり悪いことは上手くいかんのう」
 「なんだぜんぜん元気じゃん、不死身のファーザーかお前!? ならそんな何時間も淋しく倒れてないでせめてこう応急処置とか遺書書くとか弥七呼ぶとかしろよ!?(←何故弥七)」

 ともあれホワイトヘッド、ユルカを利用しているつもりが逆に利用されていたらしい。なるほど謎の先史文明研究機関ソシエテの首席の依頼とあらば疑う者は無し、その知的好奇心の余りにユルカに利用されるのもやむなしといったところ。
 そして先史の鍵は、すなわち先史の知への扉を開くもの。ユルカとリニアは魔法陣からその扉へと向かったのだという。
 「じゃあ…この先にリニアは居るのか」
 「そうじゃ…あの少年の目的も判らんし、存分に気を付けるのじゃよー?」


 静かに輝き続ける床の魔法陣を足下に、マグたちは立ち止まる。そして、次回からようやくホントに始まるラストダンジョン編! 先史の遺跡の果てにマグたちの見る世界の行方とは!? 以下次回!!


やなネタ…。


ひとつマエエヴォひとつアト

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