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第3話「最初の仙窟・その一」


 −−石となっても、千年の時は永かったよ。


 さてここは洞天福国の山中、主人公とそのお目付役助さんもとい窟子仙は、手分けして三界老師に云われた風水に乱れのある場所を探しておりました。そういえばドラクエ4のトルネコ並になんで付いてくるのか判らんうっかり八兵衛ってアレ黄門さまの毒味役とか影武者とか云う説は本当でござるか。

 主人公「…ぬう…何処だよ風水に乱れのある場所って。老師方向音痴だから実はサハラ砂漠とか南極とか新宿歌舞伎町とかもう見た目からしてバリバリ風水乱れてそうなとこと間違えてるんじゃないか…およ?」

 と、見れば道端に怪我をして倒れている女の子。放っておくのもアレなのでとりあえず回復功(基本の仙術のひとつ。じわじわ回復する)。すぐに、女の子は起きあがる。

 女の子「…っは!? わたし生きてる!?」
 主人公「何!? 実は自分が死んでいることを自覚してたのか君は!? すげえや大霊界帰りか!?」
 女の子「は…? あ、いえ、妖怪から逃げてるうちに気を失っちゃったみたいで…この辺は妖怪や洞仙が出るから注意はしていたんだけど…」

 そう、この国の一般人から見れば妖怪も洞仙も悪の3人組もひとくくりである。内心「何を怖がることがある…だって君はさっきからその洞仙と話してるんだぜ!?」とか云いつつコイツぅ★と巻物で突っついてやりたい気もしたが、しかしソレ以前に妖怪とかって注意していればどうにかなるものなのか。蛇や蜂ならともかく、熊とかはこちらが気付いたことに気付かれなければ向こうから離れてくれるそうだし、「ぼくは今すごい注意してテレビ見ているから突如入る謎の呻き声や怪しい光、画面隅の貞子さんだって見/聞き逃さないさ!!」などとやってるとむしろ注意している方が余程被害に遭いそうな気もする。ともあれまあ無意味に不安がらせる必要もないので紳士的に。

 主人公「はっはっはもう大丈夫、ボクは見ての通りちっとも通りすがりの新米洞仙なんかじゃないよ? とはいえ、危ないだろうから街まで送るよ。そういえば君の名は? ボクはジョニー(偽名)さ!!」
 女の子「じょに…? なんだか原材料に古代中華風味でなく現代アメリカ風味が3%入っていそうなずいぶん変わった名前ですね。あ、私はさくらです」
 ジョニー(偽名)「いやその『さくら』って名もあんまり古代中華風味入ってないような気がするんだが。お互い気が合うね!!」

 ソレは気が合うと云うのか。まあだいたいこの主人公からして「チープ」とか「ドア」とかどう考えても西国(このゲームの舞台洞天福国を古代中国のイメージとすると中世ヨーロッパっぽい国らしい)由来な言葉をぽんぽん話すのだ、きっとここ洞天福国は西国に植民地化された歴史でもあるのだろう。
 で、ふたり歩きだそうとしたその背に例のおせっかいネズミ仙獣の声が掛かる。しかしネズミってあんまし良いイメージ無いと思うのだが、世界にはなんでこんなネズミばっかりあふれてるのだろう。ミッキーとかソニックとかピカチュウとかビビビのネズミ男とか、ネズミ一族はもはや一流アイドルばかりである。

 窟子仙「どこ行かれるんですか!!」
 ジョニー(偽名)「…っち、うるさいやつが来たよ」
 さくら「あら、お友達が居たの…って!? わあ妖怪!?」

 さくらさん、窟子仙の姿を見るや否や、もうなんか足の代わりにキャタピラでも付いてるんじゃねーかと云う足の遅さの主人公の数倍の速さでダッシュ逃亡である。そりゃあかよわい女の子がこんな人間の限界とっくに超えてる速度で走ったら強烈なGに意識失うのも当然だろう(←ソレはかよわいのか)。しかし主人公のあのダッシュはホントに走ってるのか。よく野球部の特訓などでタイヤ引きずって走るのを見るが、主人公のダッシュはまるでその引きずられてるタイヤの方みたいなダッシュである。仙人ってみんなこんななのか。

 主人公「…っはあっはあっ…もう見えなくなっちゃったじゃんかクソネズミ!! せっかく人助けしてダンジョン育成シミュレーションから恋愛育成シミュレーションに進化できるチャンスだったのに!?
 窟子仙「それは進化じゃなくて既に突然変異とか性転換のレベルですよ!? いやもとい、とにかく老師のおっしゃってたとこ見付けましたので、行きましょうよまったくもう」


たまにはありそう…。



 …と、云う訳でやってまいりましたは昼なお暗い地下洞窟。スタートは五行で云う火属性の生産部屋だった。

 主人公「ようし記念すべき最初の仙窟!! まずはセオリー通りに!!」
 窟子仙「そうです!! 生産・練丹・召喚部屋をきっちり育てましょう!!」
 主人公「初心者のセオリーだろソレは!! 百戦錬磨の俺に今更そんなセオリー要らん!!」
 窟子仙「あんた今自分で『最初の仙窟』って言ったじゃないですか!!

 いやソレはその。確かに馴れないうちはカオスマンガ(『点心爛漫』収録)で王蒼幻も云ってたように生産・練丹・召喚だけ作って死守すれば充分である…が、上級者はたいがい、まず奥義の「玉皇宝華」から作るのだ。筆者などソレで生産部屋作るの忘れてたことさえあるくらいこのテクニックが身に染みついている程の上級者である(←ソレ上級者違う)。

 ちなみにここで解説すると、生産部屋はエネルギー(陽気)を生産する部屋、練丹部屋は仙丹を生産する部屋、召喚部屋は仲間の仙獣を召喚する部屋である。エネルギーを溜めて龍穴炉に一定量振り込めば大地は甦り、たいていはそこでシナリオクリアである。

 窟子仙「…えーと…この説明ではプレイしたことない方にしか理解できないので…そうですね、仙窟を次の決算までに潰れそうなホテルに例えると、エネルギーは各部屋を動かす電気、仙丹は改修費や人件費などのコスト、仙獣は従業員、龍穴炉は借金返済窓口(この例えだと払うのは電気になりますが)…と云うところでしょうか」

 なんかもう「仙窟活龍大戦」から一気に「シム民宿」とかになってしまった気がする。ちなみに「玉皇宝華」は全部屋のエネルギー生産力をアップするメニューで、これひとつ作ればあんまりエネルギー不足になることはない。

 主人公「じゃあさしずめ俺はホテルの最高支配人か!! 素敵に偉いぜヤホウ!! しかしなんかちっとも嬉しくないんだが気のせいか」
 窟子仙「気のせいでしょう


ひとつマエカオスシードひとつアト

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