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第11回「ミシシッピー殺人事件」(後編)

ジャレコ/1986年/ファミリーコンピュータ

 エド「処でこのゲーム、犯人ってテーラーでしたっけ?」
 ジョ「うわあいきなりそんなん云うか!? この世知辛いご時世コロンボや古畑でも観客の興味を考えて開始直後に犯人ばらすようなことはしないろうに!!」(←そうか…?)

 犯人は確か当時の攻略本にそんなん書いてあった記憶がある…いやヘレンだったっけ?(女なのは確実)まあ筆者このゲームも(『も』って…)クリアしてなくて犯人とか結末とか確証持てないからいいのだ(←いいのか)。いやしかし巷では助手のヤスもといワトソンが犯人と云う噂もあった。確かに邪魔くさいチャールズ卿をトラップに掛けて始末するためにワトソンが乗客全員と仕組んだ犯罪劇と考えれば全ては辻褄が合うのだが。実はそうなのかワトソン。


だから謎が不条理なのか!!(←違います)



 エド「でも『ポートピア』の犯人はヤスですよね」
 ジョ「えっそうなの!?」

 そうなのか!? ともあれ実際のゲームは推理アドベンチャーなのだが、なんかこうトラップのある場所を推理しなければ生き残れないような嫌なアドベンチャーである。といえ推理して何とかなるようなトラップではないので、実際のとこ一回死ぬたびにひとつずつトラップのある場所を覚えていくしかない。まさにカイの冒険。

 で、このゲームがクソゲーと呼ばれる理由がその不条理なトラップである。いや他にも不条理な証拠品とか不条理な船体構造とか不条理な発売数週間後の某店での価格(新品500円)とかいろいろ理由はあるだろうが。まあともあれトラップのことはそこらの検索サイトで「ミシシッピー殺人事件」+「死」とかなんかひとつ間違うと危険なサイトに引きずり込まれそうな単語を入れれば引っかかるサイト100件中100件で書かれてるだろうので、ここではさらっと書く…とネタが無くなるのでもといアレなので真面目に考察してみよう。だいたい未熟者探偵諸君はトラップの不条理さにだけ目が行ってしまって観客が志村後ろ後ろと云うてるのに後ろから撃たれがちだが、ソレは実はミスディレクションなのだ! 今明かされる衝撃の真実!!…と仮定して考えてみよう。なお、この文章は実在の人物、団体、ゲーム名とは全く関係ありまくりの癖に微妙に嘘が混じっていると云う一番たちの悪い構成なのであまり本気にしないように。

 落とし穴。およそ「クイズ100人に聞きました」で「豪華客船の船室にあるものと云えば?」と万が一ひとりくらい答えたのが居たとしてもディレクターの圧力で斬り捨てられて「高価そうなワイン」と答えたのが何故か23人から24人になるようなもとい、とにかく普通の豪華客船の標準装備ではない。そう、この異常さがすでに犯人逮捕への糸口なのである!!(註:本編では犯人と関係無いような気がします)ここから推理するに、客室のど真ん中に人が即死ぬような落とし穴を仕掛け得ると云う事実から犯人は造船当時の関係者。しかし船にそんなん乗ってないような気がするのでもう事件の解決は船の外での話しになってしまう。およそミステリー作家で江戸川乱歩からエドガー・アラン・ポーまで誰も破り得なかったルール中のルール「犯人は必ず登場人物の中に居る!!」法則(←法則以前の問題じゃないか…?)を破るわけにはいかんのでもう少し現実的に考えると、まず落とし穴の深さはいかほどなのか。船の構造上せいぜいが2メートルなので、それで人は死ねない…と普通は思うだろう。が、世の中広いもので、水深10センチの側溝で溺れ死んだ酔っぱらいや、2メートルどころか下り坂を走りつつジャンプ→着地しただけで即死ぬような素敵な洞窟探険家も居るのだ、別段おかしくない。きっと貧乏人チャールズ卿はそういう体質なのだろう。余談だがこの「卿」、英語では「サー」だが、この称号としての「サー」は「名前のみ」か「名前+名字」に付き、「名字のみ」には付かない(敬称としては別)。なので使用法はサー・ジョンとか太郎卿とかそんなんである。なんかちっとも「サー」さがない気がするのだが気のせいか。

 話が逸れたが要するにこの落とし穴、別に大仰なものでなく例えば床収納からぬか味噌漬けを取り出したまま閉め忘れたのとチャールズの特異体質がたまたま重なった不幸な事故なのだろう。そうも思わなければだいたい何処のミステリーで探偵が何の脈絡もなくなんとなく唐突に死ぬと云うのだ。

 エド「ゲームブックのホームズなんてソレはもうよく死にますよ」
 ジョ「そうか何の脈絡もなく何となく選択し間違えただけで即死ぬってのはゲームブック感覚なのか!?(←違うだろう)

 しかし犯人にとってみればこんな楽な犯罪も無い。だいたい100回中99回はつい油断して落とし穴に落ちたりつい油断してナイフが脳天直撃したりつい油断して猫にリセットボタン踏まれたりでもう完全犯罪である。ごくまれに根性とヒマと攻略本を持て余した生意気な小学生がクリアするくらい。

 エド「まあ良くも悪くもこれや『ポートピア』が家庭用推理アドベンチャーの最初期。これらが進歩しまくった結果が『野々村病院の人々』や『EVE』シリーズだと思えば少しくらいのボロは認めてあげましょう」
 ジョ「いやソレは進歩する方向間違ってないか…?」

 と云うわけで次回はお待ちかね、あらゆるクソゲーの元祖とも云うべき超問題作「スペランカー」です。


ひとつマエゲーム雑談記ひとつアト

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