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第12話「盗賊の罠!?」
さて、マグたち一行がミューゼヴィルに着いてから早くも5日目の朝。今日も今日とて依頼受けに向かうは、ソシエテ首席室。例によってどかんと扉を蹴り開ける。いい加減ガタがきても良さそうなのだが。
「おはようじいさん! 今日は20階まで潜らなきゃならんからまたリュックとか四次元ポケットとかくれよ!!」
「なっなんじゃいいきなり!? だいたいなんで未踏破の遺跡の最深部をそうもきっぱり20階と予測できるのかね君。よしんばアカシックレコードとか持ってるのならすぐさまソシエテにぜひ寄贈して…いやいやそんな場合じゃないんじゃ、それはもう大変なんじゃよー!?」
なんか呑気そうだが、ホワイトヘッド首席の云うに、今までゲットしたみっつの珠が例の盗賊カルカーノに盗まれたという。
「何ィーッ!? 一大事じゃねーかそりゃ!! なのになんであんたそんな落ち着いて淡々とわしの入れ歯はどこかいのーと頭に入れ歯乗っけたままに捜すじいさんのような口調なんだっ!?」
なんぼなんでもそんなじいさんがおるか。
しかしソシエテ職員、ニーナさんもそうだが、みななんでこう非常時に平静なのか。やはり英会話のNOVAの例のアレのような訓練ばかり受けてるゆえだろうか。処で英会話といえば、イーオンの和風オヤジギャグに過ぎる駄洒落た広告は、あれはどういった客層へのアピールを目指しているのだろう。実に気になる。
ともあれ、発信器が付いてるので現在位置はようく判るという。
「と云う訳で、列車から盗まれたのと一緒に取り返して貰いたい。ちなみに相手は盗賊、どんな罠が待ちかまえてるとも判らんので準備を怠らぬように。行く前にセーブして、それも念のため複数のファイルを複数のポケムキャ(←ビジュアルメモリのことをこのHPではたまにこう呼びます)にコピーした上で貸金庫に預けておくとなお安心、もうモッテモテじゃよ?」
「…判った。なんかイロイロ突っ込みたいことがあり過ぎる気もするがいいやもう全て許す。じゃあとっとと行こうかリニア!!」
そんなこんなで、次のダンジョンはパインビレッジと決定。さっさとリサさんにジャブかまして行くことにする。
「…所でなんで20階なんじゃね?」
「ふっ甘いな、最初のダンジョンブレイズ遺跡が5階、次が10階、前回が15階だったからさっ! 次が20階でなかったら数列が成り立たないじゃあないか!!」
既に「風が吹けば桶屋が儲かる」理論といい勝負のような気がする。この有名な理論、「風が吹く→帆船の需要が高まる→船が供給不足になる→仕方ないので佐渡のたらい船が如く桶で航海するようになる→桶屋が儲かる」という水も漏らさぬ完璧な理論である(←大嘘)。
さて、じゃあとりあえず小手調べにペッパーを連れ、パインビレッジに向かう。
「しっかし…パインビレッジと名前が付いてると言うことは、盗賊のアジトの癖にちゃんと村として知られてるのか…それでなんで今まで怪しまれなかったんだろう」
まあエジプトには村人全員がピラミッド盗掘者の子孫だという村が幾つか存在するらしいし、アメリカ旧フロンティア地方ならゴールドハンターの子孫ばっかりだし、オーストラリアなら島流しもんの子孫ばっかりだし、南極ならペンギンの子孫ばっかりである。そういやあ南極と云えばタロとジロの話し。感動的な側面ばかりにスポットライトが当たっているが、あの二匹どうやって生き残ったんだろうかと考えると、きっとペンギンとか食ってたんであってつまり日本に戻っても野生の王国な習性は抜けず…いやもとい話が逸れたが、とにかく中世の辺境村というのはそれがひとつの孤立社会であり、外からは中で何やってるのかさっぱり見えなかったりもするのだろう。たぶん。
という訳で、至極あっさりとパインビレッジに着いたのだが…ちっとも人の気がない。さてはとうに行方くらましたかとも思うが、扉の閉まった建物が幾つかあるので、一応覗いてみることにする。
「ごめんくださぁい、NHKの集金ですぅ」
「違うぞペッパー! そんなストレートに言ったらかえって居留守使われるって!! 最初は『役所の者ですが、少々お時間いただけますか?』と言っておいて、油断して顔だしたところで『NHKですぜ?』って言うのがこないだ『週刊・取立屋通信』で特集されてた最新のテクさっ!!」
「……なんのテク……?」
ともあれ返事がないのでドアを勝手に開けて中に入る(註:実際のNHKの集金人はそういうことはあまりしないと思います。ご安心ください)。と、高らかに響く笑い声!!
「フハハハ!! また会ったな小僧!!」
「久しぶりだなカルカーノ! お前も『実はホモ!?(攻略本より)』事件とか『クリスマスメール申込最下位人気!!』事件とかで大変だったろうが今度も容赦せんぜ!?」
「余計なお世話だ」
でも筆者、当初クリスマスメールってひとりからしか貰えないと思ってたから悩みに悩んできっと誰からも申込ねえだろうなとカルカーノで申し込んだんですけど。次の画面で「他の人にもメールもらいたい?」と来たんでなんだいなんだい最初から云ってくれベイベーとリニアの分も申し込んだり。しかしなぜニーナさんが居ないのか。
「しかし甘いな、罠とも知らずにのこのこやってくるとは」
「罠!? そりゃお前あれか、ミシシッピーを行く豪華客船の客室のど真ん中に何故か即死ねる落とし穴があるとかドア開けた途端ナイフが飛んできて即死にコンティニューとか云う!?」
「いつの時代のどういう罠だそれは! 落とし穴だってばよ!!」
その瞬間、すこんと3人の立っていた床が抜けた。
「うわあなんて古典的な! だいたいお前こんな部屋の真ん中が抜ける仕掛けがあるような場所でよく平気で生活できるな!? きっといつかごはんに生卵かけてかき混ぜてさあ今まさに食べようとしたときに床が抜けて大変なことになるぜ!! そのときに泣きながら後悔するなよ!?」
「しねえって! ていうか早く落ちれお前トムとジェリーかッ!?」
というわけで謎の落とし穴に落ちた3人の運命は!? 緊迫の展開で次回盗賊のワナ編第2回につづく!!
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