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第36話「大地の樹・別解」


 最初に注意……今回は『大地の樹』のバッドエンドですので、まずはおさらいから。今回の話しは第10話第13話を踏まえた上で、第14話と入れ替えるような形でお読みください。んでは、本編をどうぞ。


 王蒼幻(わんそうげん)によって封印された機械室の扉の前で、さくらは少し迷う。第11話で蒼幻の云っていたことが真実なら、この封印を解き、大聖樹を自由にすれば、大地は滅びるのではないか? 今までと同じ状況に戻るだけと云えばそうなのだが、人間だって喉が乾いた後には全国牛乳一気飲み大会参加標準記録程度は軽く出せるペースで水分補給をするし、吸血鬼のディオ様だってデンジャーな時にはずぎゅーと音高くなんか人間吸うだろう。それと同じで、解放された大聖樹がもしここぞと云わんばかりに大地のエネルギーを吸い尽くしてしまったら、もうカラカラにひからびた搾りカスしか残らないのではないか…? だからと云って開けないわけにもいかないのだが…。

 さくら「むう…マジで大丈夫かしら?」
 主人公「はっはっは、さくらは心配しすぎなんだよ!! そんなんやってみなきゃ判らないって!! そんでやって駄目だったら火ィ点けて燃やせばいいだけじゃん!!
 さくら「そっか! そうよね!!(←そうなのか)」

 意を決して扉を開けると、中はズギューンと静まり返っていた(←どの辺が静まり返った擬音)。そして、以前入った時には壁と同化するように稼働していた機械(大聖樹の一部)が、今はもう見た目からしてボロボロと壊れている。大聖樹の気配はとうに無い。

 さくら「!! 大聖樹!? まさか…間に合わなかったの!? なんで…なんでよ!? やっぱり倉庫部屋作って仙獣行軍ルートを変更して(1ターン)集中強化して(2ターン)アイテム出し入れしたのちセーブ(3ターン)していたあなたがズバリ悪いの!?
 主人公「ズバリ俺!? いやしかし、俺の推理によると真相はこうだ…いくらエネルギーが無くなったって機械がこうあからさまに壊れるわけはない。だいたい制限時間が来た途端にガーガーと音を立てて亀裂が入って煙を吹くようなデパートの屋上のドラえもんなどもはや危険すぎるミッションインポッシブル。ジャッキー以外はまず乗れまい(←何故ジャッキー)。つまり、大聖樹の死因はエネルギー不足でなく、なんらかの現象によってこの機械が破壊された後に起こったのだろう。例えば大地が活性化する際に毎度景気良く起こる地震はどうだ!?」
 さくら「それは…じゃあやっぱりあなたのせいじゃ…?」
 主人公「すみません私がやりました」

 以前も書いたが実のとこ大聖樹、メタルキングに会ったアリーナ並の確固たる殺意を持って臨まなければ死なない。なんせ5、6ターンもの間エネルギー振り込みをさぼらなければならないのだ、「エネルギー振り込み=HPとMPの回復」である以上、それはもう実にしんどい。序盤ならばザコ侵入者は本当ザコなので別に6ターンくらい平気で放っておいて龍穴炉が野生の王国と化して姉御(馬明仙)にぷんすか怒られるのも簡単なのだが(第16話参照)、中盤ともなるとザコでもけっこうパワフリャーになってきてMPを温存して戦おうとなるといちいち手間が掛かるのだ。そんな艱難辛苦の果てに今のこの結果に届いたと云うステキな努力をもって情状酌量を求めたいと思います!!

 さくら「そういう方向に苦労されても…」

 もはや答えない大聖樹を見、立ちつくすふたりの前に、何処からか蒼幻がテレポートしてきた。この状況にも全く動じずに、にこやかに声を掛ける。きっとこの少年は立つ場所が死体の丘でも血の池でも肥溜めでも平静でいられるのだろう。たぶん。

 蒼幻「礼を言いますよ…貴方は大聖樹の息の根を私に変わって止めてくれた。貴方の本意ではなかったとしても、ね」
 主人公「……嫌みか?」
 蒼幻「いえ、心から感謝しているのですが?」

 「あんたやっぱ嫌なヤツだろ?」と云う主人公の台詞にも、人の評価はそれぞれと蒼幻は云い、去っていく。後には何も残らない…と思いきや。部屋の片隅に転がる小さな結晶に、さくらは気付く。

 さくら「これは…大聖樹の生命」
 主人公「いやそんなあっさりくっきりなんで判るんだ君は!? 油断するな!! もしかしたら夏休みの自由研究で作ったミョウバンの結晶かもしれん!!
 さくら「それに対して油断してはいけない理由ってあるの!?

 まあウルトラな人も云ってるように生命は実は持ち運べるモノなのかも知れないが、その大聖樹の生命の残り火は、小さく輝いていた…。

 さくら「なんだか悲しい形ね…」
 主人公「この台詞も実に気になるんだが…いったいどんな形だと云うのか」
 さくら「それはもうニコラス・ケイジがムンクの『叫び』のポーズしたような実に悲しすぎる形よ…?
 主人公「君も言うね!?」

 大聖樹。太古の昔、滅びに瀕した大地を甦らせるためだけに作られ、意思を与えられ…用済みとならば死ぬことまでを決定された存在。残された彼の生命は、ふたりに何を伝えたかったのだろう…。


伝えたい想い。



 あとムンクの作品で「叫び」以外を知ってる人はいったいどれだけ居るのだろう…。…ってことで、終わり。次回は「封印の門」の分岐分です。やーこの辺、再プレイの手間が掛かるのなんの。


ひとつマエカオスシードひとつアト

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