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第27話「因果応報・その八」


 …扉の前で逡巡する主人公の前に、再び王蒼幻(わんそうげん)が現れた。行かなければ間に合わない、そう云う主人公を面白がるように。

 蒼幻「何処へ行こうというのです? 何に間に合うと云うのです? あとそろそろ今世紀最後の冬コミの締切も近付いて来ましたがみなさん原稿は大丈夫でしょうか?(註:当時の話しです)
 主人公「だっ誰に言ってるん!? しかも『(註:当時の話しです)』なんて普通話題の過ぎ去った後から付けるもんだろうに予め付けておくとはなんと云う筆者の横着!!(註:当時の話しです)

 まあいいじゃん。で、蒼幻の云うに、ちび龍はこの世界よザ・グッバイとどっか別の世界に行こうとしているらしい。行く先はまあ仙獣界か神仙界か…あと大霊界とか魔黒界とか天上界とかクレヨン王国とか怪物ランドとか、まあよりどりみどり通り越してよりどりレインボー、何処でもいいのでとにかくこの世界からちび龍が居なくなりさえすればオウブラボー、大地の異変は収まる。万事オーライだ!! なのに今更主人公が会いに行っても、事態が好転することはあり得ない。

 蒼幻「…あの龍は、この世界では生きているだけで大地を滅ぼしてしまう…のに、貴方によって大地を守ることを教えられた。例えるなら今まさにジェットでセットでラジオな街の壁を掃除しなきゃクビになる掃除人のマイティーさんに、『今そのネガティブさ一直線のラクガキを部屋の窓から見て、私より不幸な人が居ると心の支えにしている自殺願望の女の子が居るのですよ? それを消してしまったら彼女は死ぬ。それでも貴方はそれを消すのですか?』とか云うようなものです。結果、その矛盾のあまり自分の存在自体に罪悪感を感じてしまう…。そして今、自ら旅立とうとしている龍を止める権利が、貴方にあるのですか?」
 主人公「いや…その例えはなんかかなりアレだが…くそう! じゃあ!! いったい俺はどうすれば良かったんだ!! なあマイティー!?
 蒼幻「せっかくの忠告を無視して無駄に龍を育ててしまったからでしょう。が…殺せぬと云うのなら、また別の方法もあったのです。貴方は、種を手に入れましたよね? あれを上手く使えば、もしかしたら…」

 蒼幻の説明によると、第24話でちび龍に与えたカオスシードは不完全な状態だった。もしソレを甦らせることができたなら…そして、完全なカオスシードを与えていたのなら。また結果は変わった…かもしれない。

 主人公「何!? あの種持ってたらその分他のアイテム持てなくなってうざったいからとすぐさまちび龍にやった俺の! いったい何処から何処までが選択ミスだったと云うんだ!?(←最初から最後までです)
 蒼幻「そんな理由で!? それはもうこのゲームのタイトルになっている程の最重要アイテム、そんなあっさり龍にくれたらダメに決まってますよ、まったくもう!!」
 主人公「いやでもドラクエでホントにドラゴンをクエストしてたのって最初のドラクエだけじゃん!? 後は破壊神クエスト略してハカクエとか大魔王クエスト略してダマクエとか!!(←略すな)7はしたこと無いけど」

 とにかく、なんと云われても主人公はこの扉の先に行かなければならない。互いの主張が平行線を辿り、結局主人公は実力行使で蒼幻を蹴散らすことに。神代から転生を繰り返す最強クラスの術者蒼幻といえ、まだ成長しきっていない現状では真の実力を発揮できないらしい。

 蒼幻「…驚きの強さです(←バイオの力さ!!)。しかたありません、好きにすると良いでしょう。私には貴方を止めることは出来ませんからね。…ですが、次に会うときにはこの身体も少しは成長していることでしょう」

 言い残し、蒼幻は消える。それもまた彼らの運命と云うなら。


 そして、扉を抜け、辿り着いた先は、懐かしいあの場所だった。そう、もう何度コピーしたやらってカンジだが、いわゆるひとつの天挑五輪大武會の会場にあったとしたらきっと誰か落ちて死んだと見せかけて実は生きていそうな溶岩の池に囲まれたあそこである!! なんで別の仙窟からつながってるのかよく判らないのだが、まあ2年前(『最初の仙窟』)も今も洞天福の地下ってことは同じだし、なんとなくつながっていても不思議はない(←なんとなくかい)。

 で、そこにはさくらとちび龍が居た。どうして来たんだと云うちび龍に、主人公はこの世界で何とか生きられる方法を探そうと持ちかけるが、ちび龍自身は悲観的に首を振る。自分がこの世界に居てはならないと知ってしまったから、これから仙獣の世界に行くのだと。

 ちび龍「ずっと気付かなかったけど…僕だって、大地のために一生懸命働いてるつもりだった…おかしいだろ? 大地の、本当の敵は僕だったんだ…君だって本当はそう思ってるだろ?」
 主人公「敵だなんて言うなよ…。俺たちはあの広いフィールドを共に走り回った後沈む夕陽を眺めつつ笑いあった仲間じゃないか!!」
 ちび龍「何時の間にそんな事実が!? とにかく、僕だって君に育てられさえしなければこんな罪悪感を感じることはなかったんだ。何も知らなかった僕を殺せば良かったんだ…」

 まあそれは過ぎてしまった青春のメモリー、とにかくちび龍、仙獣界に行ってしまえば大地を滅ぼすことはないし、魔物扱いされることもないし、毎度毎度戦闘後にカレーを食うハメになる必要もない(←別に元からありません)。ちなみに筆者カレー嫌いです。まあそんななんで、さくらを連れて仙獣界へ行く…とちび龍は云った。

 主人公「…さくらは関係ないだろう? 行くのならひとりで行けよ」
 ちび龍「やっぱり本音はそんなもんだろ?」
 さくら「もうやめてよ、ふたりとも…」

 …ソレは、ほんのわずかなすれ違いだった。ここで主人公も一緒に行こうとか、俺も行きたいとか、そう言っていればまだ違ったろうに。たまりかねて止めに入ったさくらに、ちび龍は一緒に行こうと云う…が、さくらは行けない。どうしてと、ちび龍は問う…までもなく、答えは判っていた。彼が居るから。だから仙獣界に行くことはできない…。

 ちび龍「…そうか…。お前さえ…お前さえ居なければ」
 主人公「!? いきなり何を言い出すんだ!?」

 追いつめられたちび龍の憤りは主人公へと向いた。大地と共鳴するような、何かとてつもない力がちび龍に集まる。ソレは、かつてここで使われ、そしてまた使われる予定だったハズの術……「天封呪」(第5話第19話を参照)。対象をこの世界から消滅させ、無数の平行世界で無数の苦しみを与える術。ソレが再び主人公を捉える!!

 主人公「これは…ッ!?」
 ちび龍「お前さえ! お前さえ居なければ!! 消えて無くなっちゃえ!!」
 さくら「ダメ!!」

 咄嗟に、さくらは主人公を突き飛ばし……そして。主人公を飲み込みつつあった波動と共に、消えた。

 ちび龍「!! そんな…!!」
 主人公「おい!! さくらは!? 何処へ行ったんだ!!」
 ちび龍「……平行世界の…彼方に…。なんでだ。なんで…。さくらを送るつもりなんて……」

 …二度と帰りえぬ異世界に。そう。だからなのだ。この世界の主人公には知る由もないが、平行世界で出会ったさくらが主人公の知らない2年間を知っていたのは。
 この辺やたら複雑なのだが、改めて解説すると…まず「今」から2年前、ふたりは洞天福の山中で出会った(第3話)。その直後に主人公が「天封呪」で無数の平行世界に飛ばされる(第5話)。それから3年間(今から1年後まで)「平行世界の主人公」はそれぞれの平行世界で修行しているのだが、一方で元の世界では「過去を修正することで『平行世界に飛ばされなかった主人公』が居て」、彼が「今」、「元の世界のさくら」と再会して仙窟を作ってたわけである。
 で、その記憶を持つさくらが「今」、「天封呪」で平行世界に飛ばされ、「今」から「1年後」、「平行世界の主人公」と再会する…が、彼には「3年間ずっと修行してた」と云う記憶しかないゆえに、第8話第11話第17話の矛盾が出てくる。ちなみに平行世界と現実世界の時間の流れは一緒。


 さて、なおも物語は終わらない。放心を激昂に変え、心のままに叫ぶちび龍。大地が震え、光が集まり、彼の身体が劇的に変化してゆく。金色だったその身は、何時の間にか…。

 ちび龍「許さない!! お前が!! お前が悪いんだ!!」
 主人公「ふざけんな!! 手前ェが…………ッ!? 色が変わった!? 黒…い龍!?」


ネクロスの要塞とか…。



 …そこに居たのはもはやちび龍でなく、2年前に「ここ」で出会ったあの黒い龍だった!! もはや戦いは避けられず、主人公は黒い龍を倒す…が、ソレは骨ばかりの巨大な魔物へと変化する!! やはり第18話でケブレスの云っていたことは真実だったのだ。ラスボスが変化しないことなどおよそこの世には有り得まい!! ちなみに筆者は別に「国際変形しないラスボス認めない協会」略して「INAUTFEA」、長いのでもう一度略して(←略した意味無いやん)「ぬ組」の会員ではないので変形しないラスボス居てもいいです。正式名称は「InterNational Anti-UnTransformable Final Enemy Association」。あとなんかテキトーに作った単語が混じってるので辞書引かない方が寿命とかに幸せです。

 主人公「ヒマなのか筆者…? しかもどの辺が略…」
 黒い龍「ボ…ボクは…許…さない。お前が…」
 主人公「…違うだろ。勝手なことばっか言いやがって! 悪いのは…お前だろ!!…消えて…しまえ!!」

 主人公の怒りと共に、時空が歪んだ。「天封呪」とはまた違う時空間の歪みが、黒い龍を飲み込み…消える。後には、主人公だけが残された。「時封呪」。怒りのエネルギーで発動し、対象を過去に飛ばす術。つまり、黒い龍が行った先は…。

 主人公「……!! 今のは……『時封呪』……!? まさか……俺がやってしまったのか!?」


 −−石となっても、千年の時は永かったよ−−


 主人公「………俺が……ッ」


 …そして、その後主人公の姿を見た者は居ない。

 …とまあ、そんなわけでバッドエンドです。後味悪いんですが、やっぱりこのバッドエンドを先に書かないと…ね。で、次回は再び「最初の仙窟」から、取りこぼした分岐分を書いていく予定です。もうちこっとだけ(←?)続くんじゃよ?


ひとつマエカオスシードひとつアト

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