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第26話「因果応報・その七」


 何度も壁に叩きつけられる雷漢。なおも攻撃を止めようとしないちび龍を、身を挺して主人公は止める。その隙に雷漢や部下は去り、どうしたのと問うさくらに、ちび龍は「答えた」。

 ちび龍「なんで帰すの? 大地を甦らせるのに、邪魔じゃないの?」
 主人公「うお喋った!? はじめまして中の人!!
 さくら「中の人!? あっは、はじめまして!?」
 ちび龍「いや…僕です。マジと書いて本気で
 さくら「ソレはでも逆でしょ!?

 今まで「がうがう」(喜んでるとき)とか「ぐぐぐ」(嫌がってるとき)とか「うぐぅ」(たい焼き食べるとき)とかしか喋らなかったちび龍がいきなりクレバーに会話したのだ、誰だって驚く。


ネズミ君とウシ兄貴



 そりゃもう玩具屋で売ってる動いて喋るピカチョウ(←パチモノ)を撫でくり回してる最中いきなり「電気ネズミと呼ぶな」とシーマンの声で言われたあの時(←そんな時あったのか)より余程オラびっくらしたふたりに、ちび龍は続ける。ここで雷漢たちを帰してしまっても、どうせまた仙窟を荒らしにやってくるのは目に見えているのだ、ならば逃がす理由などない…と、ちび龍は云う。そう、なのだけれど。

 主人公「だからって殺す訳にはいかないだろ?」
 ちび龍「何故? 何故殺さないの? どうしていつも敵を帰しちゃうの?」
 さくら「敵って訳じゃないのよ…ただ、立場が違うだけなの。何時かきっと判り合えるわ」
 ちび龍「……僕には判らない」

 賞金稼ぎはさておき、雷漢や兵士は街の人の不安を取り除くために、大地を滅ぼす(と信じられている)洞仙と戦っているのだ。そこに悪意はない。彼らを殺してしまっては、洞仙に義は無くなる。洞仙はいつも、そのジレンマを抱えて戦うしかないのだ。アレだ、正義の軍隊に所属してる癖に毎週3分間肝心の所で居なくなるからもうじきリストラされそうなどっかの隊員だってたまには「実は毎週3分間変身して怪獣と戦ってるんです俺!!」とか云いたくもなろうさ!!
 けれど、幼さゆえに価値観の差を理解できないのか、ちび龍は迷う。

 ちび龍「判らない…どうして敵を!! 倒したら自動的に宿屋に送られるんだ!?
 主人公「それはッ!! 実は俺にもさっぱり判らん!!
 さくら「なんか話題がずれてるわよ!?」

 第22話も話題にしたが、ホントになんでだろう。洞仙は実はバシルーラの使い手なのか。まあともかく、少し考えさせて欲しいと云うちび龍を龍穴炉に残し、ふたりは仙窟に戻った。

 さくら「…はあ」
 主人公「まあ、悩むのも青春ってヤツさ!!」

 ちび龍はもちろん心配だが、あと少しでエネルギーがいっぱいになるここで仙窟を放り出すわけにもいかない。そして仙窟管理を続け、溜まったエネルギーを振り込むためにまた龍穴炉に戻ると…。

 さくら「フランソワ(ちび龍)が居ないわ!? ははあこれが噂の冷凍バナナで密室殺人事件!?」
 主人公「いや誰も死んでねェし!? しかも何時まで冷凍バナナにこだわるのかこの筆者。まああいつもけっこう思い詰めてたから、きっとどっかで世界の果てまで続いているという風を感じながら空を見て……およ? また侵入者か…」

 今回龍穴炉に続く階段を下りてきたのは、東国風の剣士だった。いわゆるひとつの侍なのだが、剽軽そうな風体ながら、並々ならぬ剣気をその身に宿す男。

 侍「失礼つかまつる。洞仙はここかな」
 主人公「ああ…そしてこの時空の異変のせいで万一水戸のご老公パーティーが火曜サスペンス劇場に紛れ込んだらもう第一の被害者当確のステキなうっかり屋さんを彷彿とさせるあんたは?
 侍「なんで初対面でそこまで!? そして拙者のどの辺が八兵衛!? まあ申し遅れた拙者の非礼か。ではまずは拙者の生き様聞いていただこう」

 それはもう四六時中うっかりしてそうなとこが(←説明になってません)…いやもとい、彼は飄々と、講談のように続ける。ちなみにこの(バッド)ルートでの主人公には知る由もないが、彼は本国(東国)では手配書が出ている超デンジャーな人斬りである。抜刀斎くらい。

 侍「拙者、捜神死郎(そうじんしろう)。東に戦の種あれば、駆け付け双方両成敗! 西に強者噂を聞けば、駆け付け真剣果たし合い! 天下無双の漢との勝負が拙者のメシの種、流れ渡ったこの国で、ついに見つけた好敵手…ってなとこなのでな」
 さくら「って云うかそんな綺麗な七五調で話さないでください!! 正確な台詞をメモするためにリセットするハメになったじゃないですか!!
 主人公「そりゃ筆者の都合じゃん!? それより東西ときたら! やはり北へ行った時はジンギスカンやギョウジャニンニクが美味しいラヴな話しだったんですか!?
 さくら「何ソレ!? じゃあ南を甲子園に連れていってくれるって云う約束は何処!?
 主人公「いやむしろそっちが何だそれ!?」
 死郎「…最初は雷漢殿と果たし合うつもりだったのでござるが、そなたに破れたと聞いてはな。ひとつ勝負をお願いいたす」

 まあどのみち帰ってもらわなきゃ困るし、その勝負に主人公がおっけーと答えた瞬間、死郎はマッハの居合い。実はこれシナリオ上の強制敗北なので、もうのび太とジャイアンの勝負よりあっけなく終わってしまう!! がくりと斃れ伏す主人公。

 さくら「って、一撃で負けないでよ!?」
 主人公「だって仕方ないやん、シナリオがそういう風になってるんだから!!…ええと…『ぐふっ、リチャード俺はもう駄目だ海の見える丘の上に埋めてくれ。あとロザンナに俺もう君のミートパイ食えそうにないすまないベイベーと伝えて欲しい。更にサブの奴に先に地獄の3丁目2−5のメゾンマルコビッチ608号室で待っていると伝言も頼む』
 さくら「なんでそんな悪い夢でも見たような遺言をしかも棒読み…。でもあなた、いきなりなんて卑怯よ!!」
 死郎「これは異な事。男の死会いに是と答えた処、卑怯など恨むは筋違いと……む。噂の邪龍か」

 死郎が目を向けた先は、桃源郷へと続く扉…から現れた金色の龍。その力で、主人公の傷が癒えてゆく。ちび龍の加入もあり、リターンマッチでは死郎はあっさり倒すことができた。退いていく彼を炎のブレスで送り、ちび龍はふたりに向かう。最後に、育ててもらった借りを返したかったのだと。

 さくら「…最後って…どういうこと?」
 ちび龍「王蒼幻(わんそうげん)の言葉を忘れたのかい?」
 主人公「蒼幻の言葉…サタマガの前人気ランキングにカオスシードが入ってなかったって云うアレか?
 ちび龍「いやそんな言葉何処にあったん!?」

 カオスシード設定集「点心爛漫」好評発売中!! もとい、ちび龍を育てるな、殺してしまえと云う蒼幻の言葉…ちび龍は、確認するかのようにふたりに問いかけた。立場が違うゆえに戦わねばならない雷漢たちとは、何時かきっと判り合える…と云うのなら、邪精(モンスター)とはどうなのか。大地のエネルギーを奪って生きる邪精と判り合える日は来るのか。問うまでもない。大地を守る洞仙なら、答えは明白だ。

 主人公「…無理だな」
 ちび龍「…ぐぅ」

 それを聞いた途端、きびすを返すちび龍。第23話のふたつの封印された扉のうち、桃源郷に通じてない方の扉へ向かいながら、ちび龍はふたりに付いてくるなと云う。もう一緒にいることは出来ない。

 さくら「なんでよ!? どうして」
 ちび龍「蒼幻の云っていたことは本当なんだ!! この異変は僕のせいなんだ!! 今だってふたりが命がけで集めた大地の陽気が僕に吸収されてる!!」
 さくら「!! そんな…」

 成長するまではちび龍自身も知らなかったのだが、彼の身体は大地の陽気(エネルギー)を吸収して生きるように造られている…らしい。思い起こせば確かに、エサとしても陽気の結晶を食べていた。普通の仙獣ならば仙丹だけで事足りるというのに。
 そして主人公は既に答えを出している。邪精とは永遠に判り合えない…なら。

 ちび龍「僕の身体は邪精と同じなんだ!! どうする!? 僕を殺すか!? それとも雷漢たちみたいに適当にあしらうかい!?」
 主人公「……それは」

 言い捨て、ちび龍は扉の向こうに行ってしまう。どうにもならない。ただそこに居るだけで大地を、世界すら滅ぼしてしまう存在。逡巡する主人公より先に、さくらはちび龍を追い、駆け出した。けれど、主人公は動けない。

 主人公「俺は…どうしたらいいんだ」

 悩みつつも、主人公が扉の前に行った時には、既にそれは堅く閉ざされていた。普通には開かない以上、「解封呪」…エネルギーの満ちた龍穴炉の力であらゆる封印を開くことのできる術しかない。それならば、さくらとちび龍の行ったこの先へも行ける。

 …たったひとり、エネルギーを集め、龍穴炉に振り込み続ける主人公。だが、龍穴炉にエネルギーが満ちても、大地は甦らない。それはある意味、いつものことだ。そう、いつでもこういう時には大地の復活を妨げる何かが居て…だから、ソレを倒しさえすれば大地に生命は戻る。ソレを倒しさえすれば。


 …そして、彼は再び扉の前に立つ。


ひとつマエカオスシードひとつアト

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