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第24話「因果応報・その五」
−−最初におしらせ−−
今回からこの日記を更新するごとに、トップでキャラ紹介絵を描いてくことにしました(だいたいその回に出るキャラの絵)。しかも最新版への直行リンク付き!! これはもう利用するしか!! なお、使用済みの紹介絵は、次回以降に倉庫部屋作ってそこに置いていきます。
それでは、本編をお楽しみください。
主人公「…ま、いいか。ほら食え」
ちび龍「がうっ!!」
…そして、主人公はちび龍にカオスシードを与えた。その意味も知らぬままに。
さて、洞天福の遺跡にはまだ先があった。ピラミッドのような遺跡に入り、しばらく進むと、また妙な気配と怪しい声。
謎の声「危な…そこから…離れ…」
さくら「!! なっなに!?」
主人公「またさっきのヤツか!?」
謎の声と同時に、猿の時と同じように空間が歪み、今度はふたり一緒に別世界に投げ出されてしまう!! しかし今回着いた場所は先刻と違い、ごく普通の市場だった。ええもうカマドウマ(邪精の一種。でかい)が近所の奥さんと夕食の買い物をし、タコ(邪精の一種)が子供達とわきゃわきゃ駆けっこし、キノコ(邪精の一種)がスタート直後に何の工夫もないままフィールドを一定の速さで一直線に歩いてきてヒゲオヤジに踏まれると云う、それはそれは普通の市場ですよ?
さくら「普通なの!? 特に最後の!!」
主人公「いやむしろ普通なの最後のだけじゃねーか…?(←そうなのか)でも…なんでみんな気にしないでフツーに話してるんだ…?」
そう、目の前の光景以上に異常なのは、カマドウマと話す奥さんも、タコと競争する子供も、キノコ食うだけで巨大化する特異体質に加えていいトシしてカエルやタヌキのスーツを着るイタリア系配管工(←誰)も、そのことに全く違和感を覚えていないと云うことなのだ。例えばこんなカンジ↓
奥さん「今晩の夕食何にしようかねえ」
カマドウマ「まったくうちの亭主は好き嫌いが激しくて」
奥さん「おたくもですの? おたがい大変ねえ」
主人公「…どこから突っ込んでいいのだろう。イロイロなことでごく普通の家庭でしたが奥さんは実はカマドウマだったのです!! うわあ夫の顔が見てみたすぎる!!」
さくら「いや重要なことはそれよりむしろ『カマドウマの夫に好き嫌いがあり得るのか』と云う謎でしょ!? カマドウマって何でも食べるじゃない!!」
謎の声「…もっと重要なことがあるような気がしますが」
主人公「うわまたさっきの声!? いったいなんなんだよこの場所は!!」
しかし謎の声は主人公の疑問を遮る。声の云うに、この場所に長くいると通常世界に戻れなくなるとのことで、彼の力でふたりはすぐに元居た場所に引き戻された。ちなみに以前も説明したが、カマドウマとはいわゆる便所コオロギ(オカマコオロギとも。この名前…)で、ゴキブリの素早さとバッタのジャンプ力と中華の人の食欲を持つ恐るべき強敵である。でも確かどっかの国の人はカマドウマをも食べるらしい。ヒィ。
で、ふたりが無事戻ってきたそこに居たのは、いわゆるヒトツの美少年だった。年の頃なら中学生くらいなのだが、見た目に反してかなりの力を持っていそうな、不思議な少年。穏やかな口調で、彼はふたりに声を掛ける。
少年「危ないところでしたね」
主人公「その声は…まさかッ!!」
少年「ええ、先刻あなたたちに呼びかけた…」
主人公「違う!! そう言って油断させようったってそうはいかん、その声はもう完璧あんた姉御(馬明仙)の幽霊(?)だろブルブル!! パーティー外されたのは俺のせいじゃなくて誰とは言わないがあえて言うなれば『さ』で始まって『ら』で終わる名のヒロインのせいなので呪うならぜひそちらへどうぞ!!」
さくら「私が悪いの!?」
少年「いや…単に声優さん(冬馬由美さん)が同じなだけです」
少年は王蒼幻(わんそうげん)と名乗り、先刻の異常を説明する。なんでも先刻ふたりが居た場所は平行世界だったと云う。まあつまり今居るここ(蒼幻の云う通常世界)とはまた別の世界と云うことなのだが、そこでふたりにはカマドウマに見えた奥さんは、その街の人にとってはちゃんとヒトに見えるらしい。
さくら「そんなことが…ありえるの? ハッまさかサイキック教師GO森田の仕業!! あれホントにすごいよね!?」
蒼幻「違います。空間が歪み始めているのです。今はまだ、この程度で済んでいますが…いずれは時空間にまで影響が出るでしょう」
そして、ついには過去も未来もごちゃごちゃになってしまうと、蒼幻は続ける。それはつまり、世界の破滅だ。例えば毎週決まって月曜の夜8時に始まって9時前には一件落着する悪代官の悪巧みや、毎週決まって火曜の夜9時に発生して11時前には解決する殺人事件の時間が狂ってしまったとしたら!! 世界は!! どうなる!?(←割とどうもなりません)
じゃあ、どうしてそんなことが起こるのかと、もっともな疑問を口にした主人公に、蒼幻も原因までは判らないと首を振る…が。
蒼幻「ただ、その龍。その龍からは、異世界の波動を感じます」
さくら「異世界の…波動?」
蒼幻「その龍は別の世界から来た生き物なのかも、と云うことですよ。ならば、この異変に関わっている可能性は充分考えられます」
そう…ここまで読んできた方には推測が付くかもしれない。ゲーム本編では断定こそされていないが、第20話で何処からともなく現れたちび龍のたまごは、おそらくは第9話の最後に「時天封」で飛ばされたたまごである。時間的には現在から1年後、空間的には平行世界の彼方からやってきた存在。
そして…向こうの世界では、ソレはひどく恐れられていたのだ。ドラえもんにとってのネズミやオバQにとってのイヌや怪物くんにとってのカミナリやチンプイにとってのネコやハットリ君にとっての………カエルだっけ? ともあれそんなカンジで、たまごは厳重に管理されていた。まるで、世界を滅ぼす存在であるかと云う程に。
もちろん、以上のことは蒼幻にも、平行世界での記憶のない「この世界の主人公」にも判らない(プレイヤーだけが推測できる)ことなのだが、「ちび龍が異世界の存在である」と云う事実だけでも、異常なことには違いない。そして、蒼幻の出した結論は単純だった。
蒼幻「その龍を、それ以上育ててはなりません」
さくら「育てるなって…じゃあ他人の家の玄関前に『名前はフランソワです』と書いた段ボールに入れて置き去りにしろって言うの!?」
蒼幻「……言いません」
ちび龍を殺せ、と云うことだ。もしこの時空の歪みがちび龍のせいならば、確かに他に方法はない…が、もはや家族の一員である彼を殺すことなどできない。ふたりの意思を聞き、蒼幻は一旦引き下がる。
蒼幻「…そこまで云うのなら、もう少し様子を見てみましょう。ですが、もう一度言います。その龍をそれ以上育てるのなら、その先は…破滅です」
……その夜。主人公はなかなか寝付けずに、夜風に当たりに出、なんとなく、主人公は笛に口を付けた。しんみりとした曲が、夜風に流れていく…。そして何時の間にか、さくらも外に出ていた。
さくら「…ステキな曲ね」
主人公「さくら。起こしちゃったかな」
さくら「ううん…私も寝付けなかったから。ね、なんて云う曲?」
主人公「老師の作った曲だよ。俺が老師から初めて教わった曲さ」
蒼幻の云ったことが、やはり重い。そも、この大地が何故衰えているのか、それさえもまだ判らないのだ。とは云え、今どうこう考えても始まらないのだが…。で、三界老師に教わったその曲を、さくらも教えて欲しいと云うので教えつつ、夜は更けていく…。
そして、明くる日。いつものように龍穴炉にエネルギーを振り込んだとき、それは起こった。ふたりの目の前で、ちび龍がズギャーンと成長したのだ。しかも一度ならず二度までも。まるで大地に呼応しているかのようにちび龍は成長し、数メートルはあろうかと云う巨大な龍になった!! まったくもう筆者の家の犬、もらわれてきたときはホントに小さかったので「チビ」と名付けられたのだが、数ヶ月でみるみる巨大化してぜんぜんチビじゃなくなった今も「チビ」と呼ぶしかないこの違和感がセンチメンタルに悔しいので表記はちび龍のままにしてくれる!!(←脈絡ありません)
ちび龍「ぎゃうう!!」
さくら「わー大きくなったね!!」
主人公「あ…ああ」
さくらは無邪気に喜ぶが、主人公は言い様のない不安に襲われていた…。
……つづく。
▲ひとつマエ■カオスシード■ひとつアト▼
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