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第12話「大地の樹・その三」


 そのころ地上の宿屋では、特にすることもなくぼーっとしている玲蘭を後目に、洞天福国の洞仙討伐部隊がテーブルで休んでいた。

 兵士A「それで、ここの地下に洞仙が居るということで…」
 女兵隊長:東天転(とうてんてん)「ハッ所詮ザコ、オレの敵ではないさ!!」
 僧侶A「フッ…私も及ばずながら愛を説いて洞仙を改心させてやりましょう!! 例えばラヴビィーム!!(手から変な波動)
 兵士A「痛ッ!?(←当たるなよ)こっ…これが愛の痛みと云う物なのか!?

 違うと思う。と、そんな所にやって来た客が、宿屋のオヤジに幾つかの質問をした後、納得したらしく彼は軽く礼をし、その場を後にする。

 謎の客:伊邪那岐(いざなぎ)「…なるほど、仙窟ですか…判りました」
 宿屋のオヤジ:龍雷漢(りゅうらいかん)「お気をつけて」

 暇な人:林玲蘭(りんれいらん)「何よこの肩書き!? …もとい、あの人…結構できるわね…」

 ここでアレっと思われる方も居るかもしれないが、この平行世界での雷漢は洞天福国の将軍でなく、単に武術の心得のある宿の主人に過ぎない。ただ強さ自体は他の平行世界の彼と変わらないので、きっと合格確実と云われながら受験当日試験場に行く途中「学校へ行こう」収録中の岡田に「行く先はここから遠いですか?」と遠回しに聞かれてははあこれがウワサの「どこ行くんですかゲーム」、しかしそんなん付き合ってられないので無茶云えば諦めてくれるろうと、ホントは近所の試験場に行くところを「ええ、今からちょっと飛行機で」「そっそれはどの方角ですか?」「あ…東の方に」「うわあいブラボォ!! では…『どこ行くんですか!?』(←日本に行きたい)」「イースター島まで…あ言っちゃった」「へぶあー!?」とか裏目に出まくって誰も嬉しくない上にマジでイースター島まで付き合うハメになり試験に間に合わなかったとか云う過去でもあるのだろう。


 さて、その仙窟の龍穴炉。先刻の王蒼幻(わんそうげん)の説明について問うふたりに、大聖樹は重い口を開く。王蒼幻の云ったとおり、大聖樹は滅びに瀕したこの大地を復活させるため、今から数千年前に作られた存在で、地下の機械は彼の存在を保つために必要不可欠なパーツだと云う。

 主人公「なら…なんで今、この大地はこんな荒れてるんだ? 解答時間は5秒!!」
 大聖樹「そっそそそれはアレだ、ずばり私の力が及ばなくなったためであって、別に私がエネルギーをずんどこ吸い取ってることとは関係ないもといそんな事実はちっとも無いと云うことはご理解いただけるはずだぞ!?

 なんかもう怪しすぎである。

 さくら「じゃあ、あなたを殺…もとい治せば大地も甦るのね?」
 大聖樹「それはもちろんだ!! しかしあれ(機械の部屋)が封印された今…私はもう長くはもたん。早く…早くしてくれ」


やっぱ…ねえ。



 言い残して、大聖樹の気配は消える。怪しいは怪しいが、とりあえず大地を復活させねば困るのはみな同じなので、仙窟作りを続けるしかない。と、そこへまた部屋神(仙窟の各部屋の守り神)が現れた。今度はマーメイドな水でなく、細目のナイスガイな木の部屋神だった。

 木の部屋神「王蒼幻に部屋を封印され、いよいよカオス初の時間制限シナリオがスタートします…なんと大聖樹の生命はあと数ターンしか保たないのです!!」
 さくら「数ターン!? そんなもう既に物理的に不可能な、例えるなら『10秒以内に200メートル走れ』とか云うレベルの制限時間をいきなり『初』で持ってくるなんて『しあわせ家族計画』でもしないわよ!?

 そう、現時点で「解封呪」が使えるようになる(龍穴炉が陽気で満たされる)までまだ10000以上ものエネルギーを振り込む必要がある上、目下のとこ1ターンに振り込める量は1000までなのだ(1〜1000の範囲で好きな量を入れられる)。この最大量は倉庫部屋を強化すれば1500、2000…と増えていくのだが、現状ではそもそも倉庫部屋が作れないので、1000ずつ入れても確実に10ターン以上かかる…のだが。

 木の部屋神「とはいえ、一回エネルギーを振り込むごとに2ターン寿命が延びるので、例えば10000ポイントを毎ターン1ポイントずつ振り込んでいけば理論上20000ターンは軽く延びますとも!!

 それ延びすぎ。

 主人公「いや…生命ってそんなもんなのか…?」
 さくら「まあその手の奇跡は木曜の夜8時半くらいから毎週起きてるから、きっととてもよくあることなのよ!!

 別によくはないだろう。ちなみに実際にやる場合、確か256ターンだったかでカンストになるので、そこから自分で数えて20000ターンまで頑張ろう!! 筆者は嫌です。

 と、そんな時、龍穴炉の隅に出現する怪しい気配!! 例によって侵入者である!! 今回やってきたのは先刻雷漢と話していた伊邪那岐(いざなぎ)と名乗る男だった。

 で、話を聞くと、なんでも伊邪那岐は冥界への道を探していてここに辿り着いたのだと云う。雷漢に話しを聞いてここに冥界の入口があるとの確信を強めたらしいが、そんな物騒なのはここにはない…と云っても、伊邪那岐は聞き入れない。他のシナリオでもそうだが、この人とにかく人の話を聞かないことにかいてはたぶんカオスの世界でトップクラスの実力者である(←嫌な実力者)。

 伊邪那岐「地上の樹は確かに古の存在。ならばここに冥界への道が隠されていても不思議ではありません…隠し立てするならば実力で調べさせていただきます」
 主人公「勝手なことばっか言いやがってこの日出づる国の外人め!! しかし異国で問題起こすとはいい度胸だ…大使館に連絡してくれる!!」
 さくら「たっ大使館なんてあるの!?」

 ないと思う。しかし実のとこ、大使館と云うとみなエレガントにバスローブと白いタイツを着こなすナイスミドルとか居そうな雰囲気の建物を想像するだろうが(←しません)、実は割とそうでもない。在日大使館で云うなら自前の建物持ってるのはアメリカやイギリスなどごく一部で、ポルトガルやチリの大使館はビルの一フロアだし、ウルグアイやエルサルバドルとなると更にその一部屋、リトアニア大使館などもうホテルの337号室である。いやホテルってむしろリッチなのかもしれないが。部屋間違えてノックしたら中が大使館。ステキだ。

 まあ戦闘自体はあっさりとこちらの勝利に終わった…のだが、伊邪那岐はそれでも諦めようとはしない。そんな彼に大聖樹からの声が届き、彼を止める。ちなみにこの時点で大聖樹が死んでいると強情な伊邪那岐と再戦闘するハメになる。

 大聖樹「お主の探している冥界への道は、もはやこの世界には存在せん…『時の監視者』ならばその願いも叶えられたかもしれんが…それも、とうに滅びた。何を求めてかは知らんが、あきらめい…」
 伊邪那岐「がーん!!」
 さくら「っていうか大聖樹さん戦闘する前に言ってよそれ!! エンディングをバッドに持ってく時にもここまではあなたを生かしておくんだけど、その唯一の理由がこれなのよ!? この理由さえなければ無駄に寿命延ばすこともなく速攻バッドエンド確定できるのに!!
 大聖樹「そ…そうなのか!?」

 そうなのだ。ともあれ、大聖樹の話しを聞き、伊邪那岐は失意のうちに仙窟を後にした。ちなみに「時の監視者」については次のシナリオ「封印の門」の最後に出てくるので説明はそこで、また伊邪那岐の背景も同じく「封印の門」の分岐分エンディングに詳しいので、そこまでお待ちあれ。


 そして、次なる侵入者は先刻の洞仙討伐部隊だった!! 天転はこの世界でも洞天福国の兵隊長なのだが、案の定強さも他の平行世界の天転と同じなので、部下2名(兵士A&僧侶A)と共にあっさり返り討ちであった。

 天転「くそッ…! しかしまだ終わらんッ!!」
 僧侶A「ええい何故私の愛の技が通用しないんだ!! かくなる上は伝説のエターナルラヴビィームしかないのか!?」
 さくら(ねえ…なんか今回の侵入者さん濃くない?
 主人公(いや実は未来の話しだがシナリオ8の『土功の怪』や謎窟20の『招かれざる客』はもっと濃いよ?)
 馬明仙(それよりむしろ、誇張してるといえこれ全て実話と云う事実に問題があるような…
 龍雷漢(りゅうらいかん)「…ふむ」
 さくら(りゅうらいかん…? どういう意味…って、誰あなた!?)
 主人公(うを何時の間にッ!? ひそひそ話に加わって来たのかと思いきや実はソレはルビだったとは…やるな貴様!?
 雷漢「いや…もう別に( )で話さなくても」

 何時の間にか龍穴炉入口に立っていた男、鎧兜に身を固めた宿屋のオヤジ雷漢は天転たちの助太刀に来たという。これで百人力だッ! と意気込む天転だが、しかし即座に返り討ちにされる!! 毎度戦闘描写があっさりだが、割とそういうバランス(主人公の強さに応じて敵の強さも決まる)なので、慣れさえすれば装備が無くとも戦闘で負けることはまずなくなる。

 天転「くそう…なんで勝てないんだ!?」
 雷漢「負けたが、悔いはない。お主…名は何という」
 主人公「えっ俺の名は…………………そういや名前無いんだっけ俺!!
 さくら「ヘンリーって決めたでしょヘンリー!!」
 ヘンリー(仮)「じゃあそれ!!」
 雷漢「いや『じゃあ』とか言われても!?

 ともあれ無益な殺生をしないのもまた洞仙、負けを認めた雷漢たちは地上へ引き上げていった。そんなこんなで、着実に龍穴炉は復活へと近付いている…が、それはつまり、蒼幻と大聖樹の言葉の真偽が判明する時もまた近いと云うことだった。…つづく。


ひとつマエカオスシードひとつアト

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