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第9話「仙獣のたまご・その四」


 主人公「とは云ったものの…さっき武楼庵閉まってたんだよなあ」

 そう、先刻行ったときは入口前に居たおっさんが「私は誰かと話しでもして時間まで待とうと思っています」と、なんかもう手前ェもそうしなきゃあならねぇんだぜ米米米(マイベイビー)ィィ?とばかりにずいぶん具体的な対処法を教えてくれたので、もうしばしうろつくことにする。
 で、ふらふらしていると兵舎を発見。「今のうちにザコ兵隊を叩いておけば逃げるのもラクか…?」とか不穏なことを考えつつ、兵舎に侵入!!

 主人公「たのもう!! 今ならこの洗剤を付けます!!
 兵士A「妖獣3」
 主人公「うをッ!? なんだいきなりその謎の呪文か暗号のような単語は!?」
 兵士B「うらぎり」

 実はここ、いわゆるサウンドルームで、兵士に話しかけることでいろいろなBGMが聴けるのだ。ちなみにいちばん入口に近いとこに居る兵士に話しかけて01だったかを選ぶといきなりバグってリセット押すしかなくなるので気を付けたい。筆者など初めて入った時ずばりいきなりソレを選んでしまい、後に余所のサイトで聞くまでここ罠ルームだと思っていた。

 主人公「…っふ、こんな意思の疎通もできないような人として異常な連中の相手など俺様がするまでも無さそうだな…武楼庵に行くか。ザ・グッバイ!!」
 兵士C「ヒロイン悲しい」

 なんかもう台詞だけ聞いてると兵舎でなく頭のサナトリウムである。ベトナム帰りのアメリカ兵には心の病が多いと聞くが、あれと似たような物か。


 んでまあ扉も開いたので、武楼庵に突入。もともと観光客の来る寺院なので、参拝者を装っていれば別に見とがめられることはない。しかしなんぼなんでも巨大な巻物(武器)手にした目つきの悪い仙人が入ってきたら怪しいと思わないのだろうか。ちなみに仙人は瞳孔が四角いので一般人と見分けが付くらしい。仙人はヤギなのか。


そっそうか!!



 とはいえ、普通参拝者の入れない区画まで侵入すると、さすがに「曲者!!」、「侵入者だ!!」、「くらえ! おれたちのバトルフォーメーション!!」、「アタック!!」(註:原文のまま)などと戦闘に突入するハメになる。なんかもう既にどこが中華なのかよく判らん声もあるが気にしないように。まあ侵入者、現実に例えるなら草木も眠る丑三つ時神社の杉の木に藁人形を打ち付けたり、鎌倉の大仏によじ登ってひたすら髪の毛の丸い部分を数えるようなものか。ちなみに後者の方が余程人として怪しい気がする。

 主人公「ふぅ…ザコでも数が多いと…む!? この気配は!?」

 いわゆるあれだ、捜神死郎(東国の人斬り。シナリオ4から登場)の云う「強者の気」。スカウターがピピピと鳴るようなパウァー。そう、その先に居たのは!! 数人の兵士に囲まれた中、明らかに格の違う鎧武者がひとり!!

 ヒゲ男「誰がヒゲ男だ!!
 主人公「いや俺何も言ってませんよ!? だいたい俺ならもっとセンスよく『ヒゲダンディー』とか言うぜ!!
 ヒゲダンディー「ぬう、ならば許す!!」
 兵士A「許すんかい!!

 そう、彼こそが洞天福国将軍、龍雷漢(りゅうらいかん/男/30才/声:屋良有作さん)だった!! キラリと剣を抜き、構える。

 主人公「なるほど…前回ネズミっちが言ってた『8000(雷漢)』か!! 卵、返してもらいに来たぜ!!」
 雷漢「そうか…貴様が例の洞仙か。ここで決着だ」

 てなわけで戦闘開始。仙窟でない以上味方の仙獣が居ないので、こりゃあ長丁場になるかなと思うも、最強の巻物「天尊聖宝書」を装備して知力を底上げしていれば、ほとんど『空斬』(低いレベルから使えるが超便利な仙術。真空の刃がぽんぽん跳ね回る)一発で片付いてしまう。スライムにイオナズン使うようなものである。

 雷漢「ぬう…こんな早いシナリオでそんな最強装備だと…暇なのか…?」
 主人公「いや…すまんが実は既に『達成率:完遂』になってるんだ…」

 で、先へ進むと、ひとり卵に封印をしている大僧正が居た。問答の末、主人公が「卵と引き替えに教えてもらう情報がある」と云うと、大僧正は交渉の構えを見せる。

 大僧正「その情報とやら…私が教えれば、退いてもらえるか? 背に腹は代えられんでな」
 主人公「…おっけー、条件を飲もう。実は俺『天封呪』の」
 大僧正「それはできん!!」
 主人公「断るの早すぎ!! だいたいどうせ俺何も判らないんだからテキトーにウソ教えればいいだけのことじゃん!?
 大僧正「あ…それもそうじゃな(←納得するなよ)。ようし実は!! 『天封呪』とは秦の時代の武将倍羅巣(ばい・らす)が、目障りな上司への贈り物の中に人間の髪の毛やゴキブリの死体、鼻血を処理したティッシュなどを添付し呪いを込め、これによる負のプラシーボ効果を「添付呪」と呼んだと云う故事に由来する。なお、現代でもメールなどに添付された呪いを『ヴァイラス(ウィルス、ビールス)』と云うのはこの倍羅巣の名から来ているのは云うまでもない(民明書房刊『中華電脳世界の起源』より)
 主人公「そんなん即興で考えつくあんたには敬意を表するッ!! しかし俺は騙されないッ!! って云うかなんかもうあからさまに嘘じゃん!?」
 大僧正「ぬうッ…何故嘘とばれたのだ!? かくなる上は実力で排除してくれる!!」

 そりゃあ民明書房刊ってあたりでばれるだろう。しかしなんかもうこのゲームの内容が疑われそうなので念のため書いておくと、実際のストーリーはもっとシリアスです。筆者もちゃんとストーリーに沿ってシリアス度100%で書いているので、なんか変に見える場合文字化けか転送ミスです。絶対。

 で、戦闘は割とあっさり片付いた(←一行で終わりかい)。卵を手にし、神無や仙獣の待つ仙窟へと戻って行く主人公の背に深い憎悪を込めた視線を送り、傷つきながらも大僧正は次の策を練る。

 数刻後。騒ぎを聞きつけてやってきた坊主たちを集め、大僧正は静かに語る。

 大僧正「封印球をこのまま放置しておくのは余りに危険です。かくなる上は…」
 坊主A「ついに禁呪を使うときが!!」
 坊主B「災いを別次元(平行世界)のしかも過去に送って後は野となれ山となれと云う非常に自己中なアレですな!! やっぱ自分さえよければ異世界のひとつやふたつばんばん滅びてもいいっすよね!!
 大僧正「いやそこまではっきり言われるとなんか自分かなり極悪人な気が
 坊主B「はっはっは何を今更!!」

 禁じられた呪文…そう、それゆえに大僧正は主人公に「天封呪」の事を教えるわけにはいかなかったのだ。因果と時空をかき乱す術。そして世界の理を壊す術…。

 大僧正「天の陽気よ。地の陰気よ。我に集まりて力となれ…」
 坊主B「ここで使われるのは(対象に無数の分身を生じさせつつ無数の平行世界に飛ばす)『天封呪』でなくて(対象はひとつのままひとつの平行世界の過去に飛ばす)『時天封』だからようくチェックしておくように!!」
 大僧正「誰に言っているのですか。ともあれ…『時天封』」


 一方、仙窟では。

 主人公「ただいま!! 卵取り返してきたぜ…って、神無は?」
 馬明仙「さあ…居なくなっちゃった」
 主人公「は…? いや…居なくなったって…ソレで終わり? おーい?」

 しかし、しばらく待っても神無の戻る気配はない。そして、大僧正の「時天封」によって、卵に光が集まり…その光と共に、卵は仙窟から消えた。平行世界の彼方へ。

 主人公「卵まで消えた!? じゃあ俺ただ働きじゃん!? 俺の立場は!?」

 ありません。ちなみに神無、なんで消えたのかはゲーム中では言及されないのでホントに判らない…のだが、転生した王の守護者と云いつつ人任せなところから見るに、おそらく当人も死にかけて卵守るどころではなく、たまたま今死んだ…とでも考えておこう。

 坊主B「なおここはシナリオ7『因果応報』への伏線なので覚えておくように!! 本日の講義は以上!!」
 大僧正「だから誰に言っておるのですか…ともかく、これで一安心…ぐふっ」


 まあ洞天福の大地は復活したし、老師に云われた仕事は果たした訳で、主人公は帰路に就く。なお、分岐した分の話しは「因果応報」のバッドエンドを書いた後で書く予定です。


 …そして、因果が始まる。


ひとつマエカオスシードひとつアト

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