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第7話「仙獣のたまご・その二」


 その日の武楼庵(この世界の洞天福国にある寺)は朝から騒がしかった。寺に安置してあった、封印球と呼ばれる、もう名前からしてなんか危険なモノを封印してる/する予定かインド生まれの新たな球技かのどっちかにしか想像のつかない仙宝が忽然と消え、しかもどうやらそれは仙窟にあるらしいとのこと。

 大僧正「なるほど…今回の騒ぎの裏には洞仙が関わっていたと云うわけですか」
 坊主A「大変なことになりましたな…万が一封印球が損なわれるようなことがあれば」
 坊主B「うむ! この寺の観光収入がソレはもうがっくんと減ってしまいますぞ!!
 坊主A「いやそうじゃねーだろ!!」
 大僧正「ともかく早急に対策を練らねばなりません。雷漢殿に連絡を」


 さて一方その仙窟では、まさか例の預かり卵が当の怪しいブツとも知らず、主人公は今日も今日とて穴掘りに励んでいた。

 主人公「突然だが今回はアイテム掘削部屋を作ろうと思う!! いろいろアイテム欲しいし」
 馬明仙「その意見には賛成。私、武器:木のスコップなんてやだし」
 主人公「いや待て姉御、あんた武器装備が木のスコップの癖にソレはソレは嬉しそうに『ひゃくれんてんきゅー★』って言いながらばんばん矢ァ撃ってなかったか!? いったいどういう仕組みだ」

 そう、妙な話しだが馬明仙は装備が刀・短剣・槍・包丁・スコップどんなときでも攻撃方法は矢をばんばん撃つか後足で蹴るかのどっちかだけなのだ。なんかもう武器関係なしである。「筆ならなんでも可」と云う意味で「弘法筆を選ばず(優れた書家は筆がへっぽこでも優れた書を書く)」と云うが、これを「筆以外のモノを選ぶ」と云う意味にとったかの如く髪の毛で字書いたり注射器で字書いたり砂を墨に見立てて字書いたりするような得体の知れない中国の書道家と同レベルである。ちなみにこの例は全て実在する。確かにどれもこれもべらぼうに上手いのだが、ヒマなのか中国の書道家。
 しかしよく考えるとケンタウロスって両手に加え前足後足で計6本。となると実は!!


ソレか海洋生物…。



 馬明仙「なんで虫よ失礼な!! アシュラマンなんて腕だけで6本あるじゃない!! ドルアーガは確かもっとあったわよ!!
 主人公「姉御その例えとても古すぎる!!」

 まあそんなこんなで穴掘ってるうちに部屋ポイントが足りなくなったので、龍穴炉にエネルギーを振り込む。そう、また新しい用語が出てきたが、部屋や通路を作るにはポイントが要る。例のホテルつぶれ屋の例えで云うなら土地取得の許可を取るようなもので、龍穴炉にエネルギーを入れることでポイントを得、より多くの部屋を作れるようになるのだ。
 そして振り込んだ瞬間、「そのとき地上では…」のテロップと共にシナリオ侵入者のデモが始まる!! 今回の侵入者は洞天福国女隊長、東天転(とうてんてん/女/25才/声:手塚ちはるさん)!!

 主人公「あれあの女は…」
 馬明仙「知り合い?」
 主人公「フッ…どうせザコだから例によって20レベルの迎撃パーティーで秒殺さ!!」

 その通りだった。このようにシナリオ侵入者を迎撃パーティー(仙獣だけで仙窟を行軍するパーティー)で一度倒せば、便利なアイテムを落としてくれる上、主人公の居る龍穴炉にやって来た時点ですでにへろへろなので、再戦闘もラクに倒せる。

 天転「…やっと着いたぜ…やいやい洞仙、神妙にしろ!!」
 主人公「遅かったなテンテンちゃん」
 天転「なに!! オレを知っているとはさてはお前オレのファンか!! ならばオレの強さもようく知っているはず!! おとなしくお縄に付いたら今ならもれなくオレのサインをやるぞ!!」

 今まさに迎撃パーティーに秒殺されて何故こうも自信あるのだこの女。

 主人公「ハッハァー!! あんたの底の知れた強さはようく知ってるとも!! 第4話で俺に負けて泣きべそかいて逃げだしたのもう忘れたのか!?」
 天転「はあ…? オレが泣きべそ…? 何の話しだ」
 主人公「あんたに覚えが無くても俺にはあるのさ。しかし『泣きべそ』とか『べそをかく』の『べそ』っていったい何なんだろう。教えてくれ雷電
 天転「誰だ雷電って!!」

 天転もやっぱりあくまでこの世界の天転らしい…が、強さは変わらず。割とあっさり倒すことができた。捨て台詞を残して戦略的撤退。

 そして次なる侵入者は林玲蘭(りんれいらん/女/18才/声:水谷優子さん)、その名も悪名高い賞金稼ぎの仙術使いだった。でもやっぱり秒殺。実のとこ20レベルの泰山方士と甘水兎仙(それぞれ亥&卯の陰属性)に良い装備させておけばたいていの侵入者は倒せる。
 で、へろへろになりながらそれでも龍穴炉に来た彼女は、なんでも洞仙を倒しに来たのではなく、例の卵が目当てだと云う。

 主人公「はあ? この卵? ははあアレか、これだけ大きい卵でゆで卵作ったらどんなんなるってか!? 悪いことは言わんから止めとけ、たぶんとっくに細胞分裂進んでるから、ゆであがって卵割った瞬間になんか得体の知れない妙な生命体がにょろりとはみ出てくるぞ? 確かに中華料理にそんなんあるらしいが…ハッ、でもこのゲーム古代中国風!? まさか!!
 玲蘭「何がまさかよ!! そんなんじゃなくて、単に武楼庵から盗まれて取り返した者に賞金いっぱいって云う仙宝がソレかもなのよ。ちょっと調べさせてね。処で武楼庵ってそのまんま入力したら『ブロウアン』って変換されてなんかハイカラな人名なカンジよね
 主人公「ぬうソレは確かにハイカラな…あっこら高度な話術テクニックで煙に巻いておいた上で勝手に卵を調べるな!!」
 馬明仙「煙に巻かれるあなたの方に問題があると思う

 で、勝手に調べた玲蘭は、しかしこれが封印球と云うのは武楼庵の勘違いで、ただの仙獣の卵だと云う。そんななんでもう戦うこともないと、玲蘭は帰ろうとするのだが…。

 窟子仙「洞仙様…なんか露骨に怪しいですよ?」
 主人公「いやまあ、誤解と判れば仙窟に攻めてくるヤツも減るだろ? 最初から卵壊しておけばそんなことなかったのになあベイビー?」
 窟子仙「あんた卵壊させなかったことをまだ根に持ってるんですか」
 玲蘭「それじゃあね、バーイ★」

 てなわけで、ここでシナリオは分岐…するのだが、その事実に気付いた者は居なかった。つづく。


ひとつマエカオスシードひとつアト

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