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第6話「仙獣のたまご・その一」


 さて主人公が「天封呪」と云う、イロイロ嫌な想像ができそうな名の呪文で送られたそこは、先刻まで仙窟を作っていた洞天福国に変わりはなかった…のだが、国立図書館があるべき場所に武楼庵とか云う寺があるなど、見慣れた光景に少しずつ紛れ込んだ違和感。例えるならおでんにもちが入っていたりカレーにちくわが入っていたりラーメンにチャーシューと見せたいらしいがいかんせん薄すぎる焼きハムが入っていたりと、そんなカンジにあちこち違う。ソレはもうキュウリに蜂蜜かけてメロン味とかプリンに醤油かけてウニ味とか言い張る、金銭的な問題以前に味覚が貧しいんじゃねーかと思われる人間でも気にするくらいに違う。

 主人公「ぬう…これが龍の云っていた平行世界ってヤツか。まったく平行世界なら平行世界らしく『もしもボックス』で元に戻してハイ終わりとか云う親切設計で…ん? あれは!!」

 あてもなくさまよっていた彼の前に、見慣れた姿が目に入る。そう、それは主人公を助けに来た癖にその主人公より弱くてあっさり黒い龍に返り討ちにされて今は石として静かな余生を送っていますがお元気ですか母上様なハズの。

 主人公「老師!! 龍倒して助けに来てくれたんですね!!」
 三界老師「ほわー? どなたじゃったかのう?」
 主人公「あっはっはまたボケてますね!! まったくもうこんな可愛い弟子を忘れるなんてコイツぅ!!」

 いやしかし可愛いかこの弟子。自分で云うほど可愛くない…と云うかソレ以前に「かわいい>ふつう>ビミョー」とか云う判断基準がとっくに当てはまらないこのひねくれ具合にはもはや「ひねくれてる>ふつうにひねくれてる>横から見るとひねくれてる」とかの方が相応しい気がするのだが。

 老師「いきなりなんじゃお主!? だいたいわしはここ10年弟子はとっておらんぞ!! ちなみに今年が何年だかは知らんぞ!!
 主人公「だって老師…洞仙の三界老師でしょ? 弟子の顔とか家の場所とか5分前に夕食食べたという事実とかなんでもかんでもすぐ忘れるボケ老人の」
 三界老師「ぬう…言い返せんと云う事実が厳然としてここにある!! どうやら訳ありのようじゃの」

 どうもこの三界老師はあくまでこの世界の三界老師らしい。途方に暮れる彼に、しかし老師はここで会ったのも何かの縁と云うことで、改めて弟子にしてくれると云う。そして、元の世界に帰るための手がかりを探しつつ、修行に明け暮れる毎日。


 …しかし、手がかりはようとして見付からないままに、3年の月日が流れた。3年。このゲーム発売して1年もしないうちにサターンが滅びたことから考えてもあまりに長い。
 ともあれそんな折、老師が云うに、3年前にふたりが出会った洞天福の龍脈がおかしなことになっているから仙窟作って直してこいとのこと。てなわけで久々に訪れたそこは、3年前とはうって変わった荒れ地と化していた。


 窟子仙「うーん…確かにかなり大地のエネルギーが弱まっていますね」
 主人公「うおまた出やがったこのネズミ!! お前はあのとき確かにクビにしたはずだろう…!!」
 窟子仙「何医療事故に見せかけて自分が殺した人間を見る火曜サスペンス劇場の看護婦のような目で見てくれるんですか洞仙様。今回はまだゲーム上は2回目の仙窟、解説役が居ないと困るでしょうに」

 実は全然困らんのだが。まあ仙窟を作り始めの頃は窟子仙の能力(生産部屋からエネルギーを取り出して足りない部屋に運搬する)も必要になるかもしれないので、とりあえずクビにはしないでおく。で、例によってまずは馬明仙を召喚。ちなみに馬明仙の能力はエネルギー運搬、仙丹運搬、部屋修復。なんかもう窟子仙充分要らんような気がする。なお召喚に必要な仙丹数(コストみたいなもの)は窟子仙3に対して馬明仙24。序盤では少しきつい。

 窟子仙「あああまたそんな高コストな仙獣をいきなり!! 例えるなら『桃鉄』でいきなり手持ち資金全部使って新幹線カードゲットしてハワイに一着ゴールした次のターンにライバルに札幌にゴールされて本土に帰ろうにも新幹線カードもう無くてキングボンビーに祟られ放題(実話)のような運命が待ってますよ!?」
 主人公「待たせておけそんなん!! 俺は常にまず馬明仙召喚するんだー!! いいじゃん別に強いし万能だし可愛いし姉御だし相対的にふとまゆだし!!」
 窟子仙「だんだん訳が判んなくなってるじゃないですか理由!?」

 で、龍穴炉(ここにエネルギーを一定量入れれば大地が復活する)の部屋に入ると、片隅に妙に大きな卵が置いてあった。どれほど大きいかと云うと窟子仙サイズかソレ以上、もはやモアとか恐竜とかモスラとか生まれそうである。ちなみに窟子仙は身長60cmで体重が10.3kg。馬明仙は160.8cmの110.7kg。しかしなんでこんな細かく設定してあるんだろう。誰かの趣味なのか。

 主人公「なに姉御そんな重いん!? どうりで大仙(いわばLサイズ。普通4人入るパーティーだが、彼女の場合2人分のスペースが要る)な訳だ!!」
 馬明仙「…今はそんなことより卵を見よう」

 まあケンタウロスガールだし、馬の部分が重いのだろう。しかし実際の馬は500kg〜1トンはあるだろうし、そう考えるともはやポニーである。ポニーなケンタウロスガール。ソレはどっかで見たような黄色いネズミの8倍のコスト払っても召喚するさ!!

 馬明仙「何の卵かなー」
 主人公「フッ、オレの推理からするとこれは仙獣の卵だな!! なぜならシナリオタイトルが『仙獣のたまご』だからさ!! どうだこのコナン並の俺の推理は!!」
 馬明仙「…妙な気配がする」
 主人公「無視ですか姉御」(←ツッコミ入れて欲しかったらしい)

 しかし仙獣の卵にしても、仙獣と来れば十二支。十二支と来ればほぼ哺乳類。卵生なのは辰・巳・酉しか居ない。そしてこの卵のサイズから察するに、基本的にコンパクトサイズな辰と酉はまず無い。つまり!!


蛇さん。



 馬明仙「別に召喚できるのだけが仙獣の全てじゃないでしょ…」
 主人公「えっそうなの!? じゃあ蛇男のパパにならなくて良いんだねブルブル。せっかくニョロ(筆者が蛇神仙に付ける名)と云うステキな名前考えてたんだが喜んで辞退できる!! 処で蛇神仙の女の子版が居たらスゲェ人気出たと思いませんか姉御

 そりゃあいわゆるラミアだ。蛇神仙はギャル人気が高いのでソレはないだろう。と、なんか展開がいきなりだがそこに掛かる謎の声!!

 声「洞仙様…」
 主人公「なんだ!? またホイミンか!!」
 声「誰ですかソレは。私は我が王を守護する者、神無(かんな)です」

 なんでも姿無き守護者神無の云うに、この卵は神無の主人が転生した姿で、彼の復活…孵化と云うか、ソレに大地の陽気が必要なのだという。「もしやこれがエネルギーを奪ってるからここの大地はこんなへっぽこに弱まってるのでは?」と聞くと、神無はそれを否定する。大地の衰えは自然の摂理、潮が満ち引き、川が流れまた枯れ、四季が巡るように、大地もまた生きているゆえに。

 神無「復活に必要なエネルギーはほんの少しなんです…が、今やそれだけの陽気もありません」
 主人公「…まあ置いておくだけならいいか。どっちみち大地復活させなきゃだし」

 いちおう卵を守ってくれれば、見返りに天封呪のことについて教えてくれると云う。天封呪を破って元の世界に帰るのが目下の目的ゆえ、この条件はまあ悪くはない。

 神無「というわけでお任せします…」

 言い残して、神無は消える。

 主人公「さあいきなり卵壊すか!!」
 窟子仙「何そんなグッドさわやかな笑顔で怖いこと言うんですか!? そりゃあこれ壊せば以降シナリオ侵入者は入ってこなくなりますからひゃっほうすっごいラクですが、ソレじゃあバッドエンドに行く道しか無くなっちゃいますよ!? ここは手広く3点ボックスにしておいてセーブデータから全てのエンディングに行きましょうよ!!
 主人公「…お前…未来が見れるのか…?


 そんなこんなで以下次回!!


ひとつマエカオスシードひとつアト

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